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人は幼児化し社会は・・・その3 [人間考]


「人は時として幼児化し、社会は退行することがある。それが現代で、この現象に至った原因は人々の不安だ」とする加藤諦三氏の説が5日のサンデーモーニングで紹介されました。

この説は、いま世界で起こっている多くの混乱や混迷を理解し説明する上で有用と思われます。

人々の進歩への欲求が閉ざされ、無意識のうちに自己愛だけの幼児心理に戻ってしまうほど、現代の人々は異常な不安を感じているのでしょうか?
この点を考えてみましょう。

現代人の不安といえば、まず思いつくのが、地球温暖化に起因すると思われる自然災害の激甚化、頻発化ですよね。この漠然とした脅威が世界のあちこちの人々に覆い被さっているのは事実と思われます。

さらにもっと切実なのが、経済生活の立ち行きの難しさではないでしょうか。いつの時代も食っていくのは大変ですが、畑を耕せば、あるいは漁に出ればなんとかなる時代、つまり身の回りに生産手段がある時代は、本人の努力の問題でした。

今は、起業するか、労働者になるか、スポーツや芸能などで人々を感動させるか・・・しないと生きていく金が手に入りません。

かつての日本は一億中流社会と言われ、大勢の人が比較的楽に食っていました。家はウサギ小屋と揶揄されていましたからそれほど裕福ではありませんでしたが、糊口の道はあったと言えましょう。

今は、起業すると言っても、成功する割合は極めて低いと言わざるを得ません。

雇われて賃金を得る方法が一般的と思われますが、工場は機械化され、人手は極力省かれるようになりました。また、人手を要する企業の多くは、人件費の安い海外へと流出しました。

なぜこうなったか、それは、企業の間で生き残り競争が激しいからです。世界的な兆候です。

こんなことも思い出します。かつては、女性が結婚することを「私、永久就職することにしたの」と言ってました。結婚すれば一生食っていけたのです。いわゆる専業主婦です。企業は年功序列の終身雇用でした。

今は、仕事を持ちたくて主婦に専業しない人もいるでしょうが、夫の給料で安心して食っていけると見込める人は極めて限られています。

企業の体質が変わりましたね。昔は従業員の家庭のことまで視野に入っていたように思いますが、今はひたすら効率主義、必要な労働だけを切り取って買おうとしています。

人々の経済競争の激しさがこの事態を招いているのですね。

そんな中で大衆課税だけは増えているのです。

科学も技術も進歩し、美味しいもの、便利なもの、楽しいことが溢れているにもかかわらず、それらを手に入れる金銭を手に入れることは少しも楽になっていません。むしろどんどん困難になっているのです。

これは大きな不安材料です。人々は、世界は、豊かになったにもかかわらず、一人一人の生活は困難になっているのです。

軍拡競争も脅威です。核兵器だけではありません。ドローンやロボットを応用した無人の殺戮兵器の開発などは、人々の背筋を凍らせます。

寛ぎの場、安らぎの場であった家庭も脅かされていますね。専業主婦の減少により家の中の「おかあさん」の存在が薄くなりました。同時に一家を養っていた「おとうさん」の存在も薄くなりました。

代わりに入ってきたのがインターネットです。様々なSNSによって、個人が家庭を通してではなく、直接、社会の情報や人に接するようになりました。安心の場、情報共有の場としての家庭の存在が薄らいでいます。

こうして考えてみると、現代特有の不安材料は多々ありますね。そして、こうした不安材料を減らす方策が執られているようには思えません。

つまり、先々解決される見通しはありません。出口が見えないのですから未来に希望が持てません。ますます不安が募ります。

こうしたことから、無意識のうちに退行心理に陥るという事態が起きていることは充分考えられますね。

この心理を頭に入れて、この窮地を乗り越える方策をみなで考えないといけませんね。

本日は以上です。


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