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ウソアベアソウの安全神話 [日本考]

BBC NEWS Japan は
【 日本政府が東京電力福島第一原発の処理済み汚染水100万トン以上を、約2年後をめどに海洋放出すると決めた。多くの専門家は安全だと指摘する一方、漁業関係者は強硬に反対し、環境保護活動家や近隣諸国は懸念を示している。

東京電力は、福島第一原発にたまり続ける放射能汚染水を、多核種除去設備(ALPS)で処理してタンクに保管。たまったこの処理水がすでに約120万トンに達している。放出前にはこれをさらにALPSで二次処理し、海水で薄め、放射性物質の濃度を飲料水よりも低いレベルまで引き下げる計画という。

国際原子力機関(IAEA)は、各国の原発で行われている排水放出の国際慣行に沿ったものだとして、「科学的に妥当で環境影響はない」との見解を示している。

一方で、日本の全国漁業協同組合連合会など地元の漁業関係者は、風評被害につながると、海洋放出に強く反対している。中国や韓国も懸念を示している。】と伝えています。

一点(注)を入れておきます。
IAEAは「各国の原発で行われている排水放出の国際慣行に沿ったもの」との見解を示しているとありますが、日本の汚染水は事故処理に伴って発生した汚染水ですから、国際慣行などあろうはずがありませんよね。

さて、この処理水放出決定について、麻生財務相兼副総理は
「科学的根拠に基づいて、もうちょっと早くやったらと思ってました。飲んでも何てことはないそうだから」と仰いました。

この人、渋い顔をして、ときどきズバッと常識はずれのことを仰います。「飲んでも何てことはないそうだ」
「へえー、じゃ飲んでみろ」となりますよね。

「いいよ、いくらでも飲むさ」と飲んで見せれば人格上問題はありません(多分周りが止めるでしょうが)。何が問題かと言えば「科学的根拠に基づいて」の部分です。ここに嘘がある。

多核種除去装置ALPSの能力過信がそこにあります。トリチウム以外を100%取り除くスーパーマシンではありません。それを真に受けて「飲んでも大丈夫」と吹聴するところが大問題です。

「日本の原発は構造が違うから、事故は起こさない。しかも何重にも安全対策を採っているからメルトダウンなどあり得ない」と公言していて起きたのが東電福島原発事故です。

人の心配や反対を押し切るために、安全性を強調し過ぎて神話化してしまうのです。痛い目を見たばかりです。

「科学的」とは理性的態度です。それを根拠に「飲んでも何てことはない」と感情に訴えて衆人を安心させることが後々の失敗につながることを我々は学んだのです、痛い思いをしているのです。

この人はまったく反省がない。責任感がないから、事態の重みが解らないから、いつになっても人を惑わし続けるのです。この人を要職に就けている自公政権は、基本的にこの人と同じ体質なのでしょう。

信用できません。国がズタズタになるばかりですよ、このままでは!

またまた心配になりました。

あとがき

以上は昨日早朝に書き、アップデートしました。しかし、直後に別の思いが浮かんで、下書き記事としてしまい込みました。

別の思いとは、日本政府は、この決定を改めることなく、2年後から本当に放出を始めるかもしれないな、との思いです。

そうなった暁には「飲めるようにまで浄化してある水だから差し支えない」との認識を広めておくことが、漁業に与える影響を少なくする上で欠かせない情報発信かもしれません。実害があるかどうか不明なのですから、やる以上は無害を強調しておくことが政治家の仕事かもしれません。

アソウ翁のそれを見越した発言を、賢ぶって台無しにすることが果たして良いことかどうか・・・不安になったのです。で、公開数分でやめました。

今朝また公開することにしました。やはり、神話作りは善くありません。万やむを得ないから、汚染物質を最善の方法で濾した処理水をさらに薄めて海洋放出することにしたということを、理解してもらうしかないのです。

その努力が足りないのです。もっとでかいタンクを作って貯蔵し続けるなど代替策を採るとどういう不都合があるのかとか、ALPSで濾していますが、濾すからにはそこで濾し取ったスラリーと呼ばれる放射性物質が出ます。その放射能をどう処分するのか。そもそも肝心の燃料デブリにどう近づき、どう取り出し、どう処分するのか・・・など、廃炉に至るまでには、やることが、解決することが山とあるのです。

こうした工程の中で万やむを得ない一工程だということを、広く理解してもらうしかないのです。「飲んでもなんともない」水だから放出するわけではないのです。

東電の原発事故は、福島県民に、三陸海岸の漁業に、日本国に、全世界に、限りない痛手をもたらしました。返す返すも残念な出来事です。

日本は生まれ変わらないといけなかったのです。

そんな原発政策を遂行してきた人たちが、未だにのうのうと日本の政界の中枢で跋扈していることが、不思議なこと、あってはならないことです。

復興五輪とか言っている場合ではなかったのです。失敗を小さくしよう、小さくしようという意図しか感じられません。

との思いから、再度公開することにしました。簡単に取り繕えるような話ではありません。


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