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日米安保は不平等だ! [日本考]

G20の前後に、トランプ氏が日米安保条約について「日本が攻撃された時、我々は日本を守るために戦わなければならないが、我々が攻撃された時に彼らは戦う必要はない。大変不平等な条約だ」と述べたことが報道され、話題になりました。

これは、日米安保の本質を知らない、いかにも政治素人の発言です。

そもそも日米安保は、戦勝国の軍隊の駐留を、いつまでも可能にするために作られた条約です。アメリカの、東アジアからインド洋地域をめぐる世界戦略の一環であり、日本を知り尽くし、日本を軍事的に支配し続けるための戦略でもあります。

日本は、各地で基地を提供し、首都圏上空に大きな空域まで献上しています。アメリカの一方的な優位性は、日米地位協定にも如実に表れています。日本は国民の人権を犠牲にまでしているのです。沖縄の基地負担の問題は住民の忍耐の限界を超えてさえいます。

こうしたことの見返りとして、米軍は日本の安全を保障することになっていますが、全体として、アメリカさんのご都合でできているような条約と言えるでしょう。

大統領からこんな発言があれば、認識を改めさせれば良いだけのことです。あるいは、「それでは止めましょう」と言い出す機会にすれば良いのです。絶好のチャンスです。

しかし、なぜかそうしたリアクションは起こりません。日本の政治が、こうしたアメリカの利権を守ることで権力を保持している勢力に牛耳られているからです。今の政権は、アメリカの圧力を跳ね返すどころか、言うなりに、アメリカ産の武器を大量に購入する約束までしているのです。

この辺りのことは、『日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか』(矢部宏治著)で、すでに学んだことでもあり、いまさら改めて論じることではありません。

今回わたしが問題として感じていることは、「それなら日米安保は廃棄することにしては・・・」という意見が起こると、「そんなことをすれば、あっという間に周辺の大国が攻めてきて、日本が占領されてしまう」と本気で思っている人が意外とたくさんいることです。

そのために、日米安保は止めようという意見はもやもやと立ち消えになり、まともに議論されることもありませんでした。

日本は平和憲法を掲げ、陸海空軍その他の戦力は保持しないことになっていますが、一方で防衛のための戦力として自衛隊を有しています。

このままでは憲法違反だから憲法に自衛隊を明記しようというのが現政権の主張ですが、ある程度の自衛の備えはあって当然なので、憲法の平和主義を無にしてまで改憲する必要はないとの意見もあります。

憲法との整合性はともかくとして、現実には、我が国は他国の侵略に対する備えはしているのです。その実力がどれほどかは、様々な評価がありますが、世界有数であることは間違いありません。(ネットで様々な評価を調べてみるとよくわかります)

大切なのは、軍事力で勝ることではなく、各国と平和友好条約を結ぶ外交努力で、この点は十分とは言えませんが、少なくとも、日米同盟を止めれば即座に他国に侵略されてしまうという状況にはないのです。

しかし、日本人の多くが、そういう不安を持っているのです。アメリカに守られて日本は国際社会に復帰し、その地位を上げてきたと思い込んでいるのです。思い込まされてきたのかもしれません。

自国の力で敗戦の泥沼から立ち直ってきたという自負はないのです。戦勝国の庇護の下、今の地位を築くことができたと思い込んでいるのです。庇護がなくなることなど、考えられないのです。

あの敗戦で、すっかり腑抜けになりました。こんな腑抜けた独立国など、他にあるでしょうか?

平和憲法を掲げ、自衛の備えもし、なおかつアメリカの属国に甘んじているのです。経済力があるから、技術力があるから、一風変わった文化があるから、長い歴史があるから・・・一応、各国が日本の国や人を尊重し、付き合っているのです。

決して、政治大国として日本を尊敬している国などないのです、人などいないのです。憐れんでいる人や国はあるでしょうが。

政治家も国民も、よく考えた方がいいですよ。耳の痛いことですが、基本は自立することですよ。まずは、志から。

そんなことを感じています。



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