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国際単位を早期に導入するなら [教育関連]

前の記事で、国際単位への移行が学ぶ者を遠ざけていないかという趣旨のことを書きました。

熱量の単位でも同じことが起きています。それを書きますが、着地点が、実は少し変わりそうです。

熱量の単位と言えば、かつてはcal(カロリー)でした。
1cal は、水1gの温度を1度上昇させるのに必要な熱量とされていましたから大変わかりやすかった。

100gの水の温度を20度上げるには2000cal必要です。そんな計算だけでなくcalの使用で役に立ったったのは、水を凍らせる、あるいは逆に氷を融かすのに必要な熱量の理解です。

0℃の氷1gを融かして0℃の水にするには約80cal必要なのです。水の温度を1度上げるのに必要な熱量の80倍必要です。逆に凍るときにもそれだけの熱量が放出されます。これは融解熱ないし凝固熱として習いました。

水が沸騰して気体になるときには、1g当たり約539calの熱量が必要です。1度上げる熱量の539倍です。莫大でしょう?火事を消すときに消防自動車が盛んに水をかけていますが、この気化熱を利用しているんですね。

そんなことが印象深く頭に刻まれて、物理に興味を持つきっかけにもなりました。

ところが今はcal はなるべく使わないこととされています。理由としては、水の温度を1度上げる熱量は、厳密には、何度の水を1度上げるかによって微妙に違うことや、他の単位系と融合しにくいことなどがあるようです。

国際単位SIの熱量はJ(ジュール)です。
1Jは1Ν(約102g重)の力がその力の方向に物体を1m動かすときの仕事量で、1ボルトの電圧下で1アンペアの電流が1秒間流れたときに発生する熱量でもあります。定義は少しもややこしくないのですが、全然ピンとはきません。

熱量として実感できる水の温度変化につなげるには、水1gを1度上昇させるのに必要な、例のcalとの変換が必要です。
1Jは約0.24cal、1calは約4.2Jです。

そこで、氷の融解熱は約334J/g、気化熱は約2257J/gとなります。
どんどんピンと来なくなります。

ここでも理科に興味を持つ人を減らすことになりそうです。

大系的に正確に学習を進めることよりも、まずは身の回りの物の性質に興味を持つことが大事です。それをしないと、勉強を放棄する人が増え、物の性質を知らない人ばかりになってしまいます。

以上のことから
「中学段階では解りやすい単位で定量的に興味を持たせ、より正確な学習に移るのは高校段階にすべきではないか」
と主張するつもりでした。

ところがこれを書くにあたって色々調べているうちに、現代人が到達すべきレベルの高さを考えると、それでは遅いのかも知れないと思ってしまいました。

興味を持たせつつ早い段階で大系的な学習を進めるには、定量的に興味を持たせることを小学校の高学年に下げることが必要なのではないかと思い始めました。

これではまるで逆ですが、テレビでも多くのことが学べる時代に、小学校の低・中学年の学習のテンポが遅いのではないかと感じることが多々あることを思い起こすと、解決策はそこにあるのではないかと思います。

詰め込みではなく、日常の目に見えない量的なことに興味を持たせることを早い段階でやるべきではないかということです。

こんなことを思うと、今の六・三・三・四制を四・四・四・四制に組み替えた方が合理的なのではないかと、自論に確信を深めてしまいました。

小学校の6年は長過ぎ、中・高の3・3は進学対策もあり短か過ぎます。高校の学習はレベルも高く、理解すること、覚えることが多過ぎます。

時代に合った学制改革を、そろそろ本気で考えるべきではないかと思う次第です。

書き出したときと違う結論に達しましたが、皆さまのご感想はいかがでしょうか?
物理の単位について、ご興味ありましたらネットで調べてみてください。

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