SSブログ

あの原発事故に国の責任はない? [日本考]

原発事故に国の責任なし?
6月17日、最高裁で判決が下されました。まずは事実確認のため、jiji.com様の記事を引用します。

jiji.comより

【 東京電力福島第1原発事故で避難した住民らが国に損害賠償を求めた集団訴訟の上告審判決が17日、最高裁第2小法廷であった。菅野博之裁判長は「東電に安全対策を命じても原発事故は防げなかった可能性が高い」として、国の責任を認めない判断を示した。裁判官4人中3人の多数意見。三浦守裁判官は反対意見を付けた。

 福島、群馬、千葉、愛媛各県で住民計3663人が起こした4訴訟をめぐる初の統一判断で、全国約30件の同種訴訟に影響するとみられる。

 判決はまず、事故前の原発の津波対策について「防潮堤などの設置によって原発敷地内への海水の浸入を防ぐことを基本としていた」と指摘した。

 2002年7月に政府機関が巨大津波を伴う地震を予測した「長期評価」に基づき、東電が08年に実施した津波試算は合理性があると判断。国が対策を命じていれば、これに応じた防潮堤が設置された可能性が高いとした。

 一方で、長期評価が予測した地震の規模は、津波の高さから地震の大きさを推定した津波マグニチュード(Mt)8.2前後だったが、東日本大震災はMt9.1で、はるかに大きかったと指摘。津波による主要建屋の浸水の深さが、試算では最大約2.6メートルとされたのに、実際は最大5.5メートルだったことにも言及した。津波の浸入方向も試算とは異なっていたことなどから「防潮堤で事故は防げなかった可能性が高い」とした。

 原告側は非常用電源があるタービン建屋などを密閉する水密化などの措置も検討されていたと主張したが、「津波による原発敷地の浸水を前提にして定めた水密化措置などの法令やガイドラインはなかった」などとして退けた。


 その上で、国が長期評価に基づき東電に対策を命じたとしても、「同様の事故が発生していた可能性が相当にあると言わざるを得ない」と指摘。「規制権限の不行使を理由に、国が賠償責任を負うとは言えない」と結論付けた。


 争点だった長期評価の信頼性や、津波を予測できたかについては判断が示されなかった。


 原告らの国に対する敗訴が確定。東電については、4訴訟で総額約14億円の賠償が確定している。(2022/06/17-21:38) 】

長々引用しましたが、問題は判決理由です。
【 国が長期評価に基づき東電に対策を命じたとしても、「同様の事故が発生していた可能性が相当にあると言わざるを得ない」と指摘。「規制権限の不行使を理由に、国が賠償責任を負うとは言えない」と結論付けた。】

「東電に対策を命じていればこうだっただろう。だがしかし、起きた地震が想定以上に大きかったので、どっちにしても災害は防げなかっただろう。だから国の責任は問えない」

こんな理屈ってありですか?「規制権限は不行使だったが、行使していても防げなかったので責任はない」

「もう少し小さい地震と津波で事故が起きたのなら国の責任だが、あれは大き過ぎたので責任は問えない」?

どう考えても変です。国は認可して安全操業を指導する立場にあるのですから、長期評価に基づき東電に対策を命じなければいけません。それを怠るとはどういうことですか?

原発事故を心配する人に対し、安全対策を十分とっているから、これ以上心配する必要はないという態度だったのです。いわゆる安全神話を醸成し、自分達もその神話の上に乗っかっていたのです。

その結果とんでもない大事故が起きました。日頃から真剣に安全を担保しようとしていたら、操業者の安全対策も、国の地震津波の想定も当然違っていたと思われます。

「どっちにしてもあの事故は防げなかっただろう」という根拠もない安易な推定をもとに、国の不作為を問わないなどという判決を導き出すとは、そんな理屈が通ると思っているとは「アッタマおかしいんじゃないの、判事の皆さん(お三方)!」と言わざるを得ませんよね。

本日は以上です。

テレビ画面より資料映像を追加します。

IMG_0906.jpg




nice!(12)  コメント(12) 
共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。