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どっちが「お花畑」か?(抜粋) [人間考]


締め切りに追われて「エッセイ熊谷 第5号」の原稿を書きました。未刊なので要旨を載せます。

【 前号で一万四千発の脅威について書きました。こんな物騒な話題について続けて書くつもりは毛頭ないのですが、その危機が現実のものとなりつつあるので、ここは書かざるを得まいと腹を括って、書くことにします。
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 戦禍が広がり、大国とその同盟国が核兵器を撃ち合うような事態を望んでいる指導者は取り敢えずはいないことがわかりました。
 しかし、四月二十七日、ロシアのプーチン大統領は
「ロシアに干渉する国が、この軍事作戦に戦略的脅威を与えるようなら、ロシアは他の国が有しない強力な兵器を保有しているので、電光石火の反撃を行う。我々は全ての手段を、必要があればいつでも使用する」という趣旨の演説を行いました。
 干渉する国に対し核兵器の使用も辞さないと宣言したのです。
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 (西側諸国は)ロシアの戦略を狂わせたいのですから、ロシアとしては「全ての手段を使って電光石火の反撃をする」ことになります。・・・
 理性が働いて言葉の脅しだけに留まるのか、宣言した以上実行してしまうことになるのか、この事態の推移は結果を見るまで分かりません。
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 地球住民としては心が凍りつくような、まさに一触即発の恐ろしい場面に出食わしています。
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 幸い事無きを得たとします。
 さて、このウクライナ侵攻から二十一世紀の現実が分かったとして、ここからどんな教訓を得、どう対処するか、これが問題です。

①ウクライナは他国と軍事同盟を結んでいなかったために、ロシアの侵略に対し単独で戦わざるを得ず大きな悲劇を招いた。安全保障のためには軍事ブロックに所属することが大事であるとの判断。

 実際、スウェーデン、フィンランドはNATO加盟を検討しており、日本も日米同盟強化や、クアッドなどの国際的な枠組みづくりを重視する構えです。

②核兵器を保有している国同士の戦闘行為は興らず、保有国が非保有国に進軍したことから、安全保障には核兵器の保有が不可欠であるとの判断。

 日本も非核三原則をやめ、アメリカの核兵器を共有すべきではないかという議論が起きています。

 いずれも、物騒な環境にあるのだから、平和憲法にすがっているより、勝ち抜く軍事力を備えるべきだ、それが現実的な対処法だとするものです。世論調査でも、改憲派が護憲派を上回るようになりました。

 しかしこれでは一万四千発が一万六千発に、やがては二万発にと増えるばかりです。自国の安全保障のために軍拡競争をすることのどこが現実的対応だというのでしょうか。

 政府による戦争を禁じている日本国憲法の存在を示すことこそ大事なのではないでしょうか。安易に攻め込ませない備えはしておいて、こちらから戦争することはないと内外に宣言し、隣国にも不戦と軍縮を積極的に促していくことこそが最も現実的な外交政策ではないでしょうか。

 国土があまり広くなく、人口やインフラが集中している日本は、もともと核戦争には不向きなのです。敗戦を機に軍事大国に寄り添うばかりの日本は、核兵器禁止条約にすら参加できない主体性のなさを露呈しています。

 悲惨さを知る唯一の被爆国であり、政府による戦争を禁ずる憲法を持つ国なのですから、危険を増やすばかりの愚かな軍拡の歩みは止め、軍縮に向かう歩みを先導する世界のリーダーになりましょう。

 平和を維持するためには軍拡が必要だという論理こそ、先の見えない「お花畑」ではないでしょうか! 】

以上です。後半はほとんど載せちゃいました。ご高覧に感謝します。


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