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国家改造の戦略を見る [続・友よ、戦争をしない世界を創ろう!]

《国家改造の戦略を見る》

〈異例のハイスピード出世〉
 こんな生い立ちのこんな人物が、親=安倍晋太郎(あべ しんたろう、1924年(大正13年)4月29日 - 1991年(平成3年)5月15日、日本の政治家。 衆議院議員、農林大臣、官房長官、通産大臣、外務大臣、自民党国対委員長、自民党政調会長、自民党総務会長、自民党幹事長を歴任。Wikipediaより)のあとをついで、1993年衆議院議員になります。ときに38歳。若手右寄りの政治家でしたが次第に、というかいつの間にか党中央に躍り出ます。Wikipediaより、履歴を挙げておきます。

1993年7月 - 衆議院議員初当選(旧・山口1区)
1999年10月 - 衆議院厚生委員会理事
2000年7月 - 第2次森内閣で内閣官房副長官に就任
2001年4月 - 引き続き第1次小泉内閣で内閣官房副長官に就任
2003年9月 - 自由民主党幹事長に就任
2004年9月 - 自由民主党幹事長代理に就任 党改革推進本部長に就任
2005年10月 - 第3次小泉改造内閣で内閣官房長官に就任
2006年9月 - 自由民主党総裁に選出、第90代内閣総理大臣に就任
2007年9月 - 自由民主党総裁及び内閣総理大臣を辞任
2009年11月 - 創生「日本」会長に就任
2012年9月 - 自由民主党総裁に選出
2012年12月 - 第96代内閣総理大臣に就任
2014年12月 - 第97代内閣総理大臣に就任

 森喜朗と小泉純一郎が抜擢していることがよくわかります。これにより、短期間、異例の若さで政治の中心に躍進しました。
 彼は、まず自民党の政治姿勢の改革を目標に掲げます。政権の座にあるのだから、党が本来目指す政治をどんどん実現しなければいけないと考えます。そして、党の立党宣言や綱領の書き換えを実現し、自民党に方向性を与えます。曖昧だった党の向かう方向を、党内外に明確にします。
 向かう方向とは敗戦によって曲げられた国の在り方を元に戻すことです。それが保守の道だと規定します。国民主権の戦後の憲法を、国家主権の憲法に戻す必要があります。「自主憲法」を制定し、主権を国民から国家に!

〈戦略 その1 鎧の上に衣を〉

 国家が主導する強い国に変えたいのです。半世紀ものあいだ、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を謳って営まれてきた国を、なんとしても敗戦以前に戻したい、彼のチャレンジが始まります。
(最初は彼の側のチャレンジだったはずです。それが次第に白い駒を黒い駒にひっくり返し、いまや黒優勢、形勢不利の白が黒にチャレンジするような状況になっています。)

 2006年7月、第3次小泉内閣で官房長官を務めるかたわら、例の著書『美しい国へ』を出版します。出版の目的には、自分の向かうべき方向を示すこともあったでしょうが、このタイトルで本を出しておきたいという願望があったと思われます。
 「[国家が主権を持つ強い国]につくりかえる」という信念をむき出しにしたのでは、国民に疑念や警戒心を持たれかねないと判断したのでしょう。自分は「この国を美しい国にしたいのだ」という柔らかいベールに包む必要を感じたものと思われます。自分は【闘う政治家】(同書【はじめに】より)だけれども、理屈を云々する堅物の政治家ではなく、日本的な美意識を理解するロマンティストだというイメージを売っておきたかったのでしょう。(この発想は、「積極的平和主義」という造語も、後に生み出します。)

 ちなみに、美しい国の中身については、つまり何をもって美しい国というのかについては何も記していません。それらしき部分としては、最終章の【第七章 教育の再生】の最後の段落につぎの記述があります。書の最後ですから一番いいところです。引用します。
【 私たちの国日本は、美しい自然に恵まれた、長い歴史と独自の文化を持つ国だ。そして、まだまだ大いなる可能性を秘めている。この可能性を引き出すことができるのは、わたしたちの勇気と英知と努力だと思う。日本人であることを卑下するより、誇りに思い、未来を切り拓くために汗を流すべきではないだろうか。
 日本の欠点を語ることに生きがいを求めるのではなく、日本の明日のために何をなすべきかを語り合おうではないか。】
 「いい国をつくろう!」と若者に呼びかけています。『美しい国へ』というタイトルの説明は以上です。

 そして巻末の【おわりに】の最後の部分は、次のようになっています。
【本書は、いわゆる政策提言のための本ではない。わたしが十代、二十代の頃どんなことを考えていたか、わたしの生まれたこの国に対してどんな感情を抱いていたか、そしていま、政治家としてどう行動すべきなのか、を正直につづったものだ。だから若い人たちに読んでほしいと思って書いた。この国を自信と誇りの持てる国にしたいという気持ちを、少しでも若い世代に伝えたかったからである。
 政治は未来のためにある ― わたしの政治家としての根っこにある想いを知っていただければ望外の喜びである。】

 せっかく引用したので感想を言わせてもらいますと、日本が過去に悪い結果を招くことをしてしまったことについては、正しい反省ができれば、日本人として卑下したり、自信と誇りを失うことにはなりません。正しく反省できなくて、あれはあれでよかった、仕方なかったなどと曖昧にする方が、同じ民族として自信と誇りを失うことになりかねません。
 いくら信念をもって正直に政治活動をしても、人の感性は一様ではないのです。政治家は人々の声に耳を傾けることが大事です。自分の生い立ちの特殊性を自覚しそれに配慮することなく国政を動かすものではないでしょう。
【政治は未来のためにある】それはまさにそのとおりです。その未来は、地球全体の未来です。一国だけの明るい未来は、いまやあり得ません。

 本日は以上です。また、19日が近付いてきました。与党にDMを送る日です。
 今月はこれまでのに追加して、長淵剛さんの反骨の歌詞でも送ろうかと思います。
 cyoko1112 さんのブログを参照して
 http://cyokokunn.blog.so-net.ne.jp/2016-12-14

 ご訪問に感謝します。

 

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gonntan

まったく仰るとおりです。待機児童や奨学金の問題をちゃんとしないで
なんの若者たちの未来を語る!どうやって奨学金を返すのかそれさえ
道筋をつけられない若者がたくさんいるのに、今回も経済協力3000億円!
この国の未来を背負う若者たちをバカにするにもほどがある、と思います。
by gonntan (2016-12-17 22:09) 

momotaro

gonntan さんへ
さっそくコメントをありがとうございます。
しかも補足解説していただき感謝、感謝。
まったく若者も年寄りも子を持つ母も・・・だれにも希望を与えることができず、「政治は未来のため、若者のため」とは
よく言うよ( ̄^ ̄)ゞ ですね。
by momotaro (2016-12-18 07:07) 

majyo

美しい国は 灰色のベールに包まれた
美しくない、戦前の国家主義への道ですね
黒い駒がパタパタとひっくり返されたという表現ですが
本当にそう思います
オセロやりますが、こちら側も攻め方次第で駒を
いっぺんに変える事も出来ます
どこがその手の変わり目なのかはわかりませんが・・・・

この国に自信を持てるようにするには、正しく歴史を理解し
謝るに憚りなく、そして未来志向へ向かうものと思います
明日は19日ですね

by majyo (2016-12-18 09:06) 

トックリヤシ

>日本人であることを卑下するより< なんて言ってるわりには
一番卑下しているのはご当人じゃないのでしょうかね~。。。


by トックリヤシ (2016-12-18 13:24) 

SUN FIRST

私の周りの農民の方々に安倍総理の政治に批判が日に日に増えています。
体裁のよいことばかり並べて成果がほとんどゼロのマジックを実感してきているのです。
国は経済だけで成り立つものではないと思いますが、安倍総理は経済界ばかりで、国の先を思う政治家でないですね。
国民とくに若者が将来に夢と希望を持って生きていける持続可能な雇用システム・労働環境はどうあるべきかを考えれば、現行のその場しのぎの政府の対応にはいささか疑問を感じざるを得ません。
「非正規社員にも賞与を」などと新聞報道がありますがこのような政府が世界中にたくさんあるのでしょうか?
若者が自殺する、他殺する事件の多さは目を見張る社会問題でしょう?
やんだ国家に成り下がったものです。
一刻も早く退陣していただきたいですね。


by SUN FIRST (2016-12-18 17:40) 

アヨアン・イゴカー

>正しく反省できなくて、あれはあれでよかった、仕方なかったなどと曖昧にする方が、同じ民族として自信と誇りを失うことになりかねません。

正しく反省できないということは、知識と良識と判断力を欠いているということで、そういう人間だ、国民であることが恥なのです。事実を事実をして冷静に受け入れ、反省すべきは反省し、行動で示し、初めて対等の本当の友好関係を築くことができます。
経済による、或いは力関係による関係の維持ではなく、
対等の人間対人間の付き合いをすることができるのが文化国家なのだと確信しています。


by アヨアン・イゴカー (2016-12-18 23:09) 

ファルコ84

矛盾と嘘に満ち々あふれた「美しい国」
いくら語りかけられても空しく感じられます。
一言一言が誤魔化しの嘘にしか
感じられなくなってきました。
立派な父親の後を継ぐとみんなついてくるんですね!
もう誰も異論を唱えません。
恐るべし!
by ファルコ84 (2016-12-18 23:31) 

momotaro

majyo さんへ
> オセロ・・・どこがその手の変わり目なのか・・・・
わかりませんが、いつか大逆転したいですね!しなければ・・・
> この国に自信を持てるようにするには、正しく歴史を理解し謝るに憚りなく・・・
おっしゃるとおりですよ。
> 明日は19日ですね。
はい、明日もDM書きます。頑張ります!
って下書きしたまま翌朝になってしまいました。
by momotaro (2016-12-19 06:38) 

momotaro

トックリヤシさんへ
> 一番卑下しているのはご当人じゃないのでしょうかね~。。。
そうですよ、そのコンプレックスを拭おうとしてジタバタしているんですよね〜
by momotaro (2016-12-19 06:40) 

momotaro

SUN FIRST さんへ
> ・・・安倍総理の政治に批判が日に日に増えています。
そろそろみなさん目が覚めた方がいいですよ
> 体裁のよいことばかり並べて成果がほとんどゼロのマジック・・・
アベノミクスもロシア外交もそのようですね!
> その場しのぎの政府の対応にはいささか疑問を感じざるを得ません。
> 若者が自殺する、他殺する事件の多さは目を見張る社会問題でしょう?
やんだ国家に成り下がったものです。
一刻も早く退陣していただきたいですね。
言うことなし!賛同!
by momotaro (2016-12-19 06:43) 

momotaro

アヨアン・イゴカーさんへ
コメントありがとうございます。
> 正しく反省できないということは、知識と良識と判断力を欠いているということで、そういう人間だ、国民であることが恥なのです。
おっしゃるとおりですね。
> 事実を事実として冷静に受け入れ、反省すべきは反省し、行動で示し、初めて対等の本当の友好関係を築くことができます。
これも真理かと思います。あの人たち、わかっていません。
by momotaro (2016-12-19 06:47) 

momotaro

ファルコ84さんへ
「美しい国へ」は
> 空しく感じられます。
> 一言一言が誤魔化しの嘘・・・
でも、人物を知る資料としては活用できます。若者が無批判に受け入れてしまうかもしれない点は、確かに心配です。
> もう誰も異論を唱えません。
困ったものです。「恐るべし!」
by momotaro (2016-12-19 06:59) 

cyoko1112

こんばんは。
[国家が主権を持つ強い国]に変えたいけど、「この国を美しい国にしたいのだ」という柔らかいベールに包む。
   ↑      ↑
安陪君得意の「二枚舌」の原点!!!

是非とも長渕さんの歌詞を!!!!!
ブログ紹介、ありがとうございます。
by cyoko1112 (2016-12-20 18:55) 

kazg

>正しく反省できなくて、あれはあれでよかった、仕方なかったなどと曖昧にする
言い換え、言い抜け、言いくるめがどんなに上達しても、醜いばかりで、誇りは持てません、よね。
by kazg (2016-12-20 20:49) 

momotaro

cyoko1112 さんへ
> 安陪君得意の「二枚舌」の原点!!!
二枚舌が当たり前になってしまってますね、「政治の技術だ」ぐらいに思っているのでしょうか?
政治家の前に人間失格ですよね!

by momotaro (2016-12-21 11:34) 

momotaro

kazg さんへ
> ・・・醜いばかりで、誇りは持てません
おっしゃるとおりですよ、でも当人と周りが全然気づいていない。
ゴリ押しばかり、困ったことです。
by momotaro (2016-12-21 11:37) 

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