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現宰相の人物像 ② [続・友よ、戦争をしない世界を創ろう!]

〈宰相の歴史観〉

 その一端は、自身の著作『美しい国へ』に表れています。
 『美しい国へ』については本ブログでは、
http://mo-mo-taro.blog.so-net.ne.jp/2014-08-07
以降で取り上げています。また拙著『友よ、戦争をしない世界を創ろう!』では、第三章で取り上げています。

 その『美しい国へ』の【第一章 私の原点】の中に【その時代に生きた国民の目で歴史を見直す】という一節があります。そこに次のように書かれています。(『美しい国へ』安倍晋三著・文藝春秋発行より引用)

【その時代に生きた国民の目で歴史を見直す】

【歴史を単純に善悪の二元論でかたづけることができるのか。当時の私にとって、それは素朴な疑問だった。
 たとえば世論と指導者との関係について先の大戦を例に考えてみると、あれは軍部の独走であったとのひと言でかたづけられることが多い。しかし、はたしてそうだろうか。
 たしかに軍部の独走は事実であり、最も大きな責任はときの指導者にある。だが、昭和十七、八年の新聞には「断固、戦うべし」という活字が躍っている。列強がアフリカ、アジアの植民地を既得権化するなか、マスコミを含め民意の多くは軍部を支持していたのではないか。
 百年前の日露戦争のときも同じことがいえる。貧乏生活に耐えて戦争に勝ったとき、国民は、ロシアから多額の賠償金の支払いと領土の割譲があるものと信じていたが、ポーツマスの講和会議では一銭の賠償金もとれなかった。このときの日本は、もう破綻寸前で、戦争を継続するのはもはや不可能だった。いや実際のところ、賠償金をとるまでねばり強く交渉する力さえすでになかったのだ。
 だが、不満を募らせては国民は、交渉に当たった外務大臣・小村寿太郎の「弱腰」がそうさせたのだと思い込んで、各地で「講和反対」を叫んで暴徒化した。小村邸も暴徒たちの襲撃にあった。
 こうした国民の反応を、いかにも愚かだと切って捨ててもいいものだろうか。民衆の側からすれば、当時、国の実態を知らされていなかったのだから、憤慨して当然であった。他方、国としても、そうした世論を利用したという側面がなかったとはいえない。民衆の強硬な意見を背景にして有利に交渉を進めようとするのは、外交ではよく使われる手法だからだ。歴史というのは、善悪で割り切れるような、そう単純なものではないのである。
 この国に生まれ育ったのだから、わたしは、この国に自信を持って生きていきたい。そのためには、先輩たちが真剣に生きてきた時代に思いを馳せる必要があるのではないか。その時代に生きた国民の視点で、虚心に歴史を見つめ直してみる。それが自然であり、もっとも大切なことではないか。学生時代、徐々にそう考え始めていた。
 だからといってわたしは、ことさら大声で「保守主義」を叫ぶつもりはない。私にとって保守というのは、イデオロギーではなく、日本および日本人について考える姿勢のことだと思うからだ。
 現在と未来に対してはもちろん、過去に生きた人たちに対しても責任を持つ。いいかえれば、百年、千年という、日本の長い歴史のなかで育まれ、紡がれてきた伝統がなぜ守られてきたのかについて、プルーデントな認識をつねに持ち続けること、それこそが保守の精神ではないか、と思っている。】

 現代宰相の歴史観をご覧になって、みなさんがどう思われるかと思い、文字打ちしてみました。いかがですか? 正直、言いたくないけれどお粗末でしょう?
 われわれが歴史を学ぶときは、人類の、日本人の、われわれの祖先の、過去のそれぞれの時代の生き方や出来事を知り、今日までの経過を概略頭に入れ、そこから自分たちの社会の営み方や自分の生き方の参考になることを学びとろうとするわけでしょう?

 ところがこの方の過去を見る眼は【歴史というのは、善悪で割り切れるような、そう単純なものではないのである】であります。だれも端から善悪で割り切ろうとなんかしていないのに、この方の目にはそう映る。なぜそう映ってしまうかというと、【この国に生まれ育ったのだから、わたしは、この国に自信を持って生きていきたい。そのためには、先輩たちが真剣に生きてきた時代に思いを馳せる必要があるのではないか。その時代に生きた国民の視点で、虚心に歴史を見つめ直してみる。それが自然であり、もっとも大切なことではないか。】この気持ちが優先してしまっているからです。

 多くの人は、第二次大戦までの日本の歩みが、日本(および周辺諸国に)に大きな不幸をもたらしたと感じていて、なぜそういうことになったのか、そこを明らかにし、同じ不幸が訪れないように、そこから学ぼうとしているのです。よかれと思ってしたかもしれないけれど、よくなかった。神国だからいつか神風が吹くかと思ったら吹かなかった。とうとう完敗し、降伏したのです。
 この方はその時代を過去の時代として振り返ることができないのです。そのとき、その道を選んだ為政者の、あるいはそれを支持したマスコミや一部国民の、気持ちのままなのです。
「悪と言ってくれるな、この道しかないのだ、これが欧米の帝国主義に対抗する日本の唯一の国の在り方なのだ。みなもそういう受け止め方ができないのか、それがその時代に生きた国民の目で歴史を見直すということだ」
 結局、あの時代と距離感がないのです。歴史として見ることができていないのに、「歴史」を語っているのです。

 それから【過去に生きた人たちに対しても責任を持つ】という表現がありますが、これも、「責任を持つ」ということの意味がわからないからこそ、言えることです。
 また、この方の歴史観では、時の権力者は国民の支持を得ているからこそその地位にあるのだから、その人の決めることはなんでも、善悪を超えて、歴史的に尊重される価値があることになります。「今」を永久化するトリックにはまっています。歴史に裁かれるという認識がないのです。大変危険です。

 本日は以上です。おまけの写真は先日お知らせした「戦争させない!オール熊谷市民アクション」の写真です。今日13時半からありましたが、私は14時から用事があり、受付で資料を300円でいただいてきただけでした。
IMG_3931.jpg

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ご訪問に感謝します。

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kazg

>結局、あの時代と距離感がないのです。歴史として見ることができていないのに、「歴史」を語っているのです。
あの人の、特異な立ち位置が、合点できました。

「軍部の独創」まったくそのとおり、愉快愉快。
by kazg (2016-12-12 08:04) 

momotaro

kazg さんへ
「軍部の独創」直す前に見つけられちゃいましたねぇ
「独走」の変換ミスです。
いえ、事実は「独創」なのですが、引用元は「独走」なので、訂正しておきました。
すみません、愉快が減っちゃって!
by momotaro (2016-12-12 12:38) 

トックリヤシ

豪邸の中で育ったお坊ちゃまが
外の世間を見ないまま自分の世界を作り上げてしまった。
それが彼にとっての理想の世界?
他人に押し付けるな! 一人で楽しんでよ~!
by トックリヤシ (2016-12-12 13:36) 

majyo

本からたくさんの引用していただき読みましたが
ニッキョーソとやじるあの方にはこの文は書けないのでは?
べらべらしゃべったものをゴーストライターが書いたのでは・・・・
そこからしてお粗末だと思います

過去に生きた人たちに責任を持つのなら
祖父のやった日米不平等条約をしっかり責任もって解決してほしいです
いま、アベさんは自分の言葉が大義と勘違いしています。
不幸ですね。こんな宰相をもった日本は

by majyo (2016-12-12 16:32) 

cyoko1112

こんばんは。
「時の権力者は国民の支持を得ているからこそその地位にあるのだから、、、、」、だから俺の言う事は聞くべし、と考えているんでしょうね!!

父母の愛情は人間形成にとって、とても大事なんですね!!
by cyoko1112 (2016-12-12 18:45) 

gonntan

私もmajyoさんが書かれているようにこの本はゴーストライターが
書いたのだろうと思うのですが、この中で「民衆の側からすれば
当時、国の実態を知らされていなかったのだから憤慨しても・・」という
指摘は今も厳然としてあることですから、安倍首相の「丁寧に説明云々」
は歴史を語る以前に、「まずそこから動き出さないと駄目じゃん」
な点です。まとまった長い理論的な文章を書く能力があるのかどうか・・・・

by gonntan (2016-12-12 21:40) 

ファルコ84

多くの政治家は、靖国に参拝し
先輩たちが真剣に生きてきた時代に思いを馳せているんですね!
それが、悪いと分かっても正当化しようとしています
これでは、世界からの信用は得られません。
どうしたものか!
by ファルコ84 (2016-12-12 22:55) 

momotaro

トックリヤシさんへ
> 他人に押し付けるな! 一人で楽しんでよ~!
まったくですよ。めでたく総理になって、日本中に押し付けようとしている。
冗談じゃないっす、こちらは悪夢です!
by momotaro (2016-12-13 05:04) 

momotaro

majyo さんへ
> べらべらしゃべったものをゴーストライターが書いたのでは・・・・
多分そんなものでしょう。でもあの人はいつも自分の思いはなるべく正確に言っておこうとします。そのあと体裁を誰かに取らせます。これもそうだと思います。
> 過去に生きた人たちに責任を持つのなら
祖父のやった日米不平等条約をしっかり責任もって解決してほしいです
それだけでなく、戦争指導者の為したことの責任も取らなければなりません。でも悪いことをしたと思っていないのです。
戦後何十年かはとてもそれでは通りませんでしたから、そんなことを言う人は一人もいなかった。ほとぼりが冷めた頃、事情を理解しない頭の足りない人が堂々と言い出す。同じ思いの人がそれを利用する。
それが今日の図式でしょう。
卑怯です、図々しいです。私たちが倒れないうちに、倒さなければいけません。
またまた、意気投合しちゃってます (^_−)−☆
by momotaro (2016-12-13 05:06) 

momotaro

cyoko1112 さんへ
こんばんは。昨夜リコメ書き始めたのですが、途中で寝ちゃいました!
> だから俺の言う事は聞くべし、と考えているんでしょうね!!
そうなんですよ、マスコミ操作もやっておきながら、指示を受けていることにしちゃっているのですから、ホントに始末が悪いです!
> 父母の愛情は人間形成にとって、とても大事なんですね!!
色々な運命の人がいましょうから一概にはなんとも言えませんが、父母の愛を確認しながら子どもは成長しますよね。
この人は名門家系で総理になっちゃいましたから、始末が悪いです!!
by momotaro (2016-12-13 05:07) 

momotaro

gonntan さんへ
> 安倍首相の「丁寧に説明云々」は歴史を語る以前に、「まずそこから動き出さないと駄目じゃん」な点です。
おっしゃるとおりです。言うことは言うのですが、やることはやりません。
また支持率を背景になんでもやるのですが、その支持率を気にしてあの手この手を使っています。つまり支持されているように作っておいて、「支持されているから」と押しまくる。
アレアレ・・・ですね
> まとまった長い理論的な文章を書く能力があるのかどうか・・・・
骨だけは通して、あとは体裁!
全体の整合性なんか取れていようがいまいが、判断能力なしでしょう。
by momotaro (2016-12-13 05:08) 

momotaro

ファルコ84さんへ
靖国参拝など
> それが、悪いと分かっても正当化しようとしています。これでは、世界からの信用は得られません。
まったくです。戦争責任をいつまでも追求されます。警戒心も解けません。
大変国益を損なっていると思います。
時代の過ちは結果論だけではありませんよね。人類の夢や希望、歩むべき道に対しても、判断するべきです!
by momotaro (2016-12-13 05:21) 

SUN FIRST

まっとうでないのが、よくよく理解されました。
安保に反対するデモ隊に自衛隊出動を要請したおじい様を尊敬してやまないお孫さん。
蛇のように二枚舌を使い過去にも(多分先にも)類を見ない総理大臣ですね。
しかも思い込みが過ぎてるから民への冒涜も比類がない。
ここのところの国会運営で墓穴を掘って選挙で洗礼を受けることを期待してます。


by SUN FIRST (2016-12-13 15:38) 

momotaro

SUN FIRST さんへ
コメントありがとうございます。
逐一ごもっともと拝読しました。
特に最後の
> 国会運営で墓穴を掘って選挙で洗礼を受けることを期待してます。
me too です!
by momotaro (2016-12-13 21:43) 

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