『日本はなぜ、「基地」と「原発」を…』を読んで その14 [『日本はなぜ、「基地」と「原発」を・・・』]
《 PART３ 安保村の謎①－昭和天皇と日本国憲法》（４）
《第一回マッカーサー・昭和天皇会見》
〈敗戦から４３日後に行われた。公開されている外務省の記録によると、二人は簡単な挨拶の後、マッカーサーが２０分にわたり演説をし、その後昭和天皇は「この戦争については、自分としては極力これを避けたい考えでありましたが、戦争となるの結果を見ましたことは、私のもっとも遺憾とするところであります」と述べたとのこと。発言内容については諸説あるが、マッカーサーの政治顧問だったジョージ・アチソンが本国の国務省に宛てた極秘電報がもっとも事実に近いのではないかと思う。それには外務省の記録には意図的に書かれていないつぎの２点がある。《①「宣戦布告の前に真珠湾攻撃をしたのはまったく自分の考えではなく、すべて首相だった東条（英機）の責任である」 ②「だからといって、自分の責任を回避するつもりはない。自分は指導者として、日本国民の行動には責任がある」これは、東条に罪をかぶせるというシナリオに沿った発言だが、公にすると不都合なこともあるので、外務省は削除したのではないか。〉
《一九四五年九月の段階から、日米合作のシナリオが動き始めた》
〈ほとんど語られることはないが、マッカーサー・昭和天皇会見の二日前に、天皇は、アメリカ・メディアと記者会見している。そこで交わされた一問一答は、日米間で合意された完成度の高いシナリオだった。ＧＨＱと天皇側近との合作によるシナリオが動き出していた。〉
《安保村の誕生 ― マッカーサーの信頼をかちえた昭和天皇》
〈こうした昭和天皇の「全面協力します」という決意表明は、マッカーサーにとって心強いものだっただろう。〉
《「もっとも安全な方法は、〔天皇がみずから〕危険をおかすことだ」》
〈戦争が終わる数ヶ月前から終戦工作が行われ、天皇が戦争責任を認めることが天皇にとって最善の選択だという助言がなされた。昭和天皇にはそれに応じる胆力があり、それを高く評価したマッカーサーと「アメリカの占領政策＝日本の国家再生計画」という共同プロジェクトが始まる。安保村の基本構造が誕生した瞬間でもある。〉
《最初は英文だった人間宣言》
〈そもそもアメリカが日本を占領した目的は、日本を自分たちの国益にかなう形で国家改造することだった。すなわち、「二度と自分たちに刃向う可能性がない国」、「民主的な国」に改造することだった。彼らは戦前の日本を天皇崇拝と軍国主義が一体となった狂信的軍事国家だと考えていた。そこで、国家が神道にかかわることを全面的に禁止する命令を出した。〉
見出しの説明はここではまだなされていない。前後の状況説明である。
《人間宣言と日本国憲法が書かれた経緯は、そっくりだった》
〈その命令に「天皇は神ではない」という内容は書かれていない。信仰の問題なので、本人に言わせようという計画が立てられ文案が示された。五月に予定されている東京裁判に天皇をかけないように、国際世論を誘導するために急がれた。日本国憲法がこの時期に急いでつくられたのも同じ理由である。こうして１９４６年１月１日に人間宣言が出され、すぐにマッカーサーが連携して「いまや天皇は民主主義の象徴となった」と称賛する声明を出した。〉
日本は敗戦を境に短期間のうちに国の体制を変えるわけだが、その具体的な経緯については、非常に大切なことであるにもかかわらず、歴史として教えられることはなかった。このあたりのことは、うやむやにしたまま、戦勝国の意図によって受動的にそうなったと目をつむってしまいたいのだろうか、為政者たちの意識としては。しかしこれが、その後今日まで、正体を明かさないまま存在しつづけ、日本を主導していく安保村誕生の経緯だったのだ。
矢部先生の貴重な解説はまだまだつづく（が、ここらで一服）。
《第一回マッカーサー・昭和天皇会見》
〈敗戦から４３日後に行われた。公開されている外務省の記録によると、二人は簡単な挨拶の後、マッカーサーが２０分にわたり演説をし、その後昭和天皇は「この戦争については、自分としては極力これを避けたい考えでありましたが、戦争となるの結果を見ましたことは、私のもっとも遺憾とするところであります」と述べたとのこと。発言内容については諸説あるが、マッカーサーの政治顧問だったジョージ・アチソンが本国の国務省に宛てた極秘電報がもっとも事実に近いのではないかと思う。それには外務省の記録には意図的に書かれていないつぎの２点がある。《①「宣戦布告の前に真珠湾攻撃をしたのはまったく自分の考えではなく、すべて首相だった東条（英機）の責任である」 ②「だからといって、自分の責任を回避するつもりはない。自分は指導者として、日本国民の行動には責任がある」これは、東条に罪をかぶせるというシナリオに沿った発言だが、公にすると不都合なこともあるので、外務省は削除したのではないか。〉
《一九四五年九月の段階から、日米合作のシナリオが動き始めた》
〈ほとんど語られることはないが、マッカーサー・昭和天皇会見の二日前に、天皇は、アメリカ・メディアと記者会見している。そこで交わされた一問一答は、日米間で合意された完成度の高いシナリオだった。ＧＨＱと天皇側近との合作によるシナリオが動き出していた。〉
《安保村の誕生 ― マッカーサーの信頼をかちえた昭和天皇》
〈こうした昭和天皇の「全面協力します」という決意表明は、マッカーサーにとって心強いものだっただろう。〉
《「もっとも安全な方法は、〔天皇がみずから〕危険をおかすことだ」》
〈戦争が終わる数ヶ月前から終戦工作が行われ、天皇が戦争責任を認めることが天皇にとって最善の選択だという助言がなされた。昭和天皇にはそれに応じる胆力があり、それを高く評価したマッカーサーと「アメリカの占領政策＝日本の国家再生計画」という共同プロジェクトが始まる。安保村の基本構造が誕生した瞬間でもある。〉
《最初は英文だった人間宣言》
〈そもそもアメリカが日本を占領した目的は、日本を自分たちの国益にかなう形で国家改造することだった。すなわち、「二度と自分たちに刃向う可能性がない国」、「民主的な国」に改造することだった。彼らは戦前の日本を天皇崇拝と軍国主義が一体となった狂信的軍事国家だと考えていた。そこで、国家が神道にかかわることを全面的に禁止する命令を出した。〉
見出しの説明はここではまだなされていない。前後の状況説明である。
《人間宣言と日本国憲法が書かれた経緯は、そっくりだった》
〈その命令に「天皇は神ではない」という内容は書かれていない。信仰の問題なので、本人に言わせようという計画が立てられ文案が示された。五月に予定されている東京裁判に天皇をかけないように、国際世論を誘導するために急がれた。日本国憲法がこの時期に急いでつくられたのも同じ理由である。こうして１９４６年１月１日に人間宣言が出され、すぐにマッカーサーが連携して「いまや天皇は民主主義の象徴となった」と称賛する声明を出した。〉
日本は敗戦を境に短期間のうちに国の体制を変えるわけだが、その具体的な経緯については、非常に大切なことであるにもかかわらず、歴史として教えられることはなかった。このあたりのことは、うやむやにしたまま、戦勝国の意図によって受動的にそうなったと目をつむってしまいたいのだろうか、為政者たちの意識としては。しかしこれが、その後今日まで、正体を明かさないまま存在しつづけ、日本を主導していく安保村誕生の経緯だったのだ。
矢部先生の貴重な解説はまだまだつづく（が、ここらで一服）。
おはようございます。昨夜読んでいたのですが・・・・
このあたりは、本を書く方によって色々と違う事も出てくるようです。
多分、こうでありたいと願う気持ちもあるからでしょうか？
だから、アメリカに残された公文書が事務的ではありますが
正しいという気がします。
実は最近また、寝る前にこのあたりを読んでいるのですが
難しい。殆どすぐに寝てしまいます。
こうしてまとめていただくのを読むのが一番です。
これは誰にも出来る事では無いので、感謝しています。
日米合作のシナリオ、これが真実により近いと思っています。
by majyo (2015-06-15 07:21)
米国の傘の下から逃れらられない理由、なんとなく分ってきました。
70年経っても実のところ何も変わっていないのですね。。。
by トックリヤシ (2015-06-15 09:31)
majyo さま、コメントありがとうございます。
諸説あって、真相は闇の中だったのだと思います。
著者はアメリカの公文書に多くを頼っているわけですが、
欧米人は、我欲・国益も大事にしますが、真実に対しては謙虚な（死ぬまで嘘をつき続けないような）ところがあります。
だから、著者の解き方が正解に近いのではと思っています。
そこでがんばって要点を抽出しているわけですが、まだちょうど半分のところで、ヘーハー、ヘーハー、お疲れ気味です。
でも、休み休みならなんとか・・・どうぞ、気長にお付き合い下さいますよう。
トックリヤシさま、コメントありがとうございます。
今日の天気予報で、石垣島と熊谷が３１度になると言ってました。
まずは、熱中症に気を付けることにしましょう。
戦後の大転換期を歴史としてきちんと認識できないものだから、
そのよいところを伸ばし、よくないところを改めて行くという、
日本人・日本の社会としての歩みができないまま、今日に至ってしまったのでしょうね。
その他の面では復興できても、政治的な進歩は皆無だった。
政治家、官僚、マスコミ、我々国民、早く気付いて反省して、出直さなければいけませんね。がんばりましょう (^o^)／
そんなときに、現政権は、何をやっているんでしょうね (－－〆)
by momotaro (2015-06-15 11:30)
きちんと本を読んで勉強されている皆さんの話を読むにつけここんとこほんとはご無沙汰でもっぱらネット情報にすがっているなあと反省しております。
by さきしなのてるりん (2015-06-15 15:45)
大したこと言われているとは思いません。
東条英機が真珠湾攻撃して開戦し、敗戦したのですよね。
そして、内外に多くの犠牲を遺して（残して）・・・敗戦しました。
私は、アメリカ第５１州で言いと思いますよ！
優先順位５１番目のアメリカ合衆国の５１番目の衆。
嘘つきごまかしはやめてアメリカ宣言したほうがいい。
ABとその支持者の利益はアメリカ迎合によってもたらされる。
所詮はアメリカの言いなりです。
ほかに何かありますか？
私は、日本という国が、最近、特に恥ずかしい！
ABさんSGさんこれ以上世界に向けて「恥」を広げないでください。
嘘とごまかしをやめてください。
憲法を改正したって、愚かな日本人に現憲法以上の憲法が生み出せるのですか？
女性を性器としか扱っていなかった屈辱の強要について、ごまかししらばくれる、現政府の姿勢を、メッセージ発信によって日本国民は認めたことになるのです。
許されましょうか？
人ひとり悔いることはないのでしょうか！ねえ？
by SUN FIRST (2015-06-15 20:26)
さきしなのてるりんさまへ
私はブログに向かう時間がとれない日も多く、
思っても発信できない日が多々あります。
そんな折、みなさまのブログを拝見すると、大変価値ある情報を発信しているので、勉強させてもらうとともに、感謝しています。
なかでもてるりんさんのブログはユーモラスな動物の写真をまじえて
的確な資料と共にしっかりご意見を述べられているので、
訪問し甲斐があります。
「反省」する必要など微塵もありませんので、
これからも宜しくお願い致します m(__)m
by momotaro (2015-06-15 22:30)
SUN FIRST さまへ
いつもコメントをありがとうございます。
でも夜のコメントは、一日のお疲れの上に、アルコールも入って、
ご機嫌がよかったり、悪かったり・・・起伏もあるかと思います。
そこで、本日のコメントは
「ABさんSGさんこれ以上世界に向けて「恥」を広げないでください。
嘘とごまかしをやめてください。」
ここをメインに受け止めさせていただきます。燦Ｑ (^_-)-☆
by momotaro (2015-06-15 22:45)
矢部宏治先生の本にプラス
日野原重明先生の「十代のきみたちへ」を読むと
大人でも目からうろこがかなり落ちます。それと
内田樹先生の「街場の戦争論」ですね。
大日本帝国と新生日本国とをつなぐ人が
いなかったという部分は、現代の問題を論じる点で
非常に重要な要素だと思います。
by gonntan (2015-06-15 23:04)
和尚さま、ご教示ありがとうございます。
取り急ぎお礼まで。
by momotaro (2015-06-15 23:28)
Ｐａｒｔ３を読んでいる最中です
戦後の混乱期
政治家も知らないうちに
ましてや国民が知るすべもなく
日本の方向性は決められてしまった
今になってその方向性が
決まっているようで
確信が持てていない
日本人特有の
曖昧さが災いしているように思う。
その方向が悪い方に向かっているのに
危惧するばかりです。
by ファルコ８４ (2015-06-15 23:56)
アベノミクスが良いか悪いかで選挙しておいて大勝したら安保改定。
目をくらまされ、ごまかされて、アベノみそくそ憲法解釈。
これも全部が国民選択の総括、民の請託ということで法制化される。（強行採決ありそうですね。）
名実ともにアメリカの威を借る日本になります。
公然と威を借る宣言をするのだから、当然敵ができる。
ISなど最たる敵確定でしょうな？
もはやアメリカ人だと思い込まなければこの先ヤッテイケナイでしょ！？
近々発信予定の安倍総理の７０年談話。
未来志向＝謝罪の削除。
慰安婦問題＝日本だけではなし戦時はあたりまえという。
これらを支持して産経新聞、法制化に反対する民主党に対するこき下ろし記事の格調たるや・・・。
酩酊しないでヤッテラレナイですオイラ。
まあ、自虐的だと笑ってください。
毎度ばかばかしいお笑いですいません。
by SUN FIRST (2015-06-16 03:21)
ファルコ８４ さま
> 日本人特有の曖昧さが災いしているように・・・
アベの右寄りというか、右越え路線が、ぼおっとした日本人の眼を覚まさせるのにかえってよかったのかもしれません。
そう振り返れるように、いま頑張りましょう！
by momotaro (2015-06-16 10:06)
SUN FIRST さま
草木も眠る時刻に第２弾お送りいただきありがとうございます。
最初の７行（アベノ ～ 敵確定でしょうな？）非常によくわかります。
「もはやアメリカだと思わなければやっていけない」のグレた気持ちも
わかるのですが、アメリカは国益は大事にするので、５１州ならまだしも、
日本は、その範囲の外の外国（支配国）で、いいように利用されているのですよ。政府がだらしがないから。
「近々発信予定の～格調たるや・・・。」のご心配も、まったく共有するところです。
終り３行も気持ちはわかりますが、今や形勢も変わってきました。
憲法学者の長谷部恭男・早稲田大教授と小林節・慶應大名誉教授が昨日、外国特派員協会で記者会見し、毅然として持論を発表されたと報じられています。
ここはやけ酒よりも、美酒をなめなめ、ソネブロをあちこち覗くというプラス思考がよろしいかと・・・国会包囲網に加われれば一番いいのですが、なかなかそれはむずかしいですからね、所用の関係で。
いずれにしてもコメントありがとうございました (^_-)-☆
by momotaro (2015-06-16 10:35)