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『日本はなぜ、「基地」と「原発」を…』を読んで その11 [『日本はなぜ、「基地」と「原発」を・・・』]

   《 PART3 安保村の謎①-昭和天皇と日本国憲法》 (1)

〈ここまで読んできて「そこまでひどいとは思わなかった」と感じた人が多いのでは。しかし、これらはすべてアメリカ側の公文書によって証明されていることである。いったいなぜこんなことが起こってしまうのか、そこには、非常に根深い構造的な原因がある。だが、それを説明する前に、ひとつだけ技術的な問題について説明する。〉

《「朝三暮四という政治テクニック」》
〈中国のこの故事は、老人とサルをめぐるとぼけた民話ではなく、権力者が民衆を統治するうえでの最高のテクニックについて語った極めて恐ろしい話なのである。〉

《二重の規制ライン》
〈沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故で、米軍は事故現場を広範囲に封鎖して、政府関係者であれだれであれ、日本人を現場に近づけさせなかった。それはおかしいということで、政府は新しい取り決めを米軍と結ぶことになった。その結果、事故機の残骸が飛び散った部分の規制ラインはアメリカが管理、その外側は立ち入りポイントを定め共同管理、さらに外側に規制ラインを定め日本が管理することになった。これがひとつ目の朝三暮四。〉

《二種類の密約》
〈2009年9月に誕生した鳩山政権は戦後結ばれた日米安保に関する密約を調査し、関連する日本側の公文書を明らかにすることを公約としていた。ところが調査の開始から半年後、外務省の委嘱を受けた「有識者委員会」は厳密な意味での密約はなかったとする報告書をまとめ、調査は幕引きとなった。委員会の座長である北岡氏は、第二次大戦以前の大国同士が結んだ密約が「密約」で、戦後の日米密約は厳密な意味での密約ではなかったと、根拠もなく決め付けた。これがふたつ目の朝三暮四。〉

《「条約は一片の紙切れにすぎない」という虚偽》
〈日本の国際政治学の最高権威とされる北岡氏は「条約とは生き物であり、それ自体は一片の紙切れに過ぎない」とも述べている。これが、重要な密約文書が発見されたときに、政府が「合意文書はあったが、現実には影響をおよぼさなかった」と釈明する「理論的根拠」となっている。しかしこの理論は完全な虚偽である。条約や密約は当事国の力関係によって動くものかも知れないが、過去の条約や密約の内容が現実の世界で起こっているとすれば、それらの取り決めが効力を持っているに決まっており、破棄しないかぎり効力を持ちつづける。〉

 著者は、アメリカの戦後支配に不平不満を言わないで従属している日本人の態度を「朝三暮四」という故事で括っているが、長いものには巻かれて、島社会で支配的地位を獲得・維持しようとする(一部)知識人の姑息な生き様・知恵の使い方が看て取れる。そういう彼らも支配されている側なのだから、たしかに「朝に四、暮れに三ならいいじゃないか」と仲間を説得しているサルのリーダーと言えなくもない。騙されているサルよりも、利口そうに仲間を騙して旨いものを食っているリーダーサルが圧倒的に罪深い。その辺のことを著者は次のように記している。《こうした数々の珍妙な「理論」は、つまりは違法な密約を永久に破棄させないための防波堤として機能している。》

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コメント 8

majyo

いよいよ確信に迫ってきましたね
条約・密約は朝三暮四
しかし、これに沿って日本は動いています。
私は騙されていたサルでした(-_-;)
残念です!
by majyo (2015-05-23 20:28) 

momotaro

騙すことを仕事にしているサル(セイジカ・カンリョウ)と、
そのサルたちに知恵を付けるサル(ゴヨウガクシャ)が
いたのですね。まるでサルの列島!
バカにされちゃいますよね( 一一) プンプン
by momotaro (2015-05-23 22:13) 

トックリヤシ

「真実を知って怒るサル」を増やしましょう。。。
by トックリヤシ (2015-05-24 21:41) 

momotaro

トックリヤシさん
ほんとですねー。お~い、みんな怒れ~(^O^)/
これを怒らないでどうするんだ~!!!
by momotaro (2015-05-25 05:14) 

gonntan

東京でやっと読み終わりました。
私の名前まで書いていただきありがとうございます。
「友よ・・」について書きたい感想はたくさんあるのですが、
事務が立て込んでいてそちらに時間を割かないといけないので
申し訳ありません。ぼちぼち触れさせていただきたいと思っています。
by gonntan (2015-05-25 22:51) 

SUN FIRST

[友よ・・」についてわが感想を述べます。
「読め!売れ!」、「朝日」、「毎日」の巨大三紙?が総理大臣のお抱えPR紙となった今日、われわれ庶民の意を代弁してくれるのは桃山直太郎紙ですな!
ちょっぴり「朝日」に未練を感じながらですがね・・・。
原発だって沖縄だって、そこに住んでる人のことを思えば、いまのまつりごとで良いはずはない。
私にしてみれば、甚だ遺憾であります。
いまの衆参両院議員があやまった選挙制度で選ばれた人々である以上、日本人の真の代表者であるはずがないのだから・・・。
いまある、「現行為政者にまことに都合のよい選挙制度からまず改めて=人口比で議席を割り当てる=選挙をしてのち、議論すべきが正論でしょう?
momotaroが次作でどんなことを論じるか楽しみです!!
私は、現選挙制度に対する違憲提訴しをた弁護士のみなさんにエールを送っているものです。
momotaroさん、がんばって!!!



by SUN FIRST (2015-05-25 23:55) 

momotaro

gonntan さま
お忙しいなかご高覧いただきたいへんありがとうございます。
ご感想がたくさんおありで、ぼちぼち触れていただけるとのこと
楽しみにしております。よろしくお願い致します。

SUN FIRST さま
いつもご声援をありがとうございます。
まったく選挙制度に不備があって、しかも不真面目な政治が
原因の一つでもある低投票率での選挙で、
過半数を獲ったからとやりたい放題。
お取り巻きが、またやらさせ放題とは、今の政治は
ほんとに怪しからん! 歴史に残る悪政です(--〆)
by momotaro (2015-05-26 09:21) 

ファルコ84

私もPart3を読んでいる最中です
>「朝三暮四という政治テクニック」
人をだまくらかす政治手法
簡単そうで効果抜群
政治家はあの手この手
さすが頭がいいんですね!

隣国では内政の失敗を
国民の目を国外にそらす政治手法も
見受けられるような!
by ファルコ84 (2015-05-28 10:03) 

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