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『日本はなぜ、「基地」と「原発」を…』を読んで その9 [『日本はなぜ、「基地」と「原発」を・・・』]

   PART2  福島の謎(4)

《「統治行為論」と「裁量行為論」と「第三者行為論」》
〈福島の原発の問題を考える場合も、ウラ側の法体系を考慮しておく必要がある。砂川裁判で最高裁は憲法判断をしないとしたが、そのとき「安保条約のような…高度な政治性を有する問題については…」としたため、「国家レベルの安全保障」については最高裁は憲法判断をしないことが確定した。改正された原子力基本法には「前項の安全の確保については、(略)わが国の安全保障に資することを目的として、行うものとする」という条文が入れられている。三つの法理論の内容はすべて同じもので、行きつく先は「司法による人権保障の障害」、「行政権力の絶対化を招く要因」また「司法審査権の全面否定」(小林節教授著書より引用)である。これらは米軍基地問題に関して、日本の憲法を機能停止に追い込むために関係者が編み出したトリックだが、行政や司法担当の日本の官僚たちが基地以外の目的にも使い始めるようになったということである。その行きついた先が、原発再稼働という狂気の政策なのである。〉

《政府は憲法に違反する法律を制定することができる》
〈日本は米軍基地問題をきっかけに憲法が機能停止状態に追い込まれ、法律どころか官僚が作る政令や省令でさえ、憲法に違反できる状況になっている。〉

 前の見出し部分も含め、たいへん由々しき事態である。一つの間違いが、指摘され正されていくのが人の世の本来の姿ではないかと思いたいが、日本の政・官界は、その間違い(=トリック)をテコにますます間違った方向(=民を欺く方向)に行こうとするのである。ガン細胞の増殖にも似ているように思う。そんなたとえが相応しいかどうかは別にして、あれだけ大勢の人が懲りた戦争の70年後、日本という国の政治が、表向きは日本国憲法を掲げ、「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」をだれも否定せず、謳い文句にしておきながら、実は、さまざまなトリックを駆使して、他国に操られ、国民をないがしろにし、民主主義国の一つとしての体面だけを、内外に保ってきたのである。そういう事実だけは、歴史家の方々にしっかり受け止めておいていただきたい。戦後70年の日本は、そういう欺瞞に満ちた、腐った国だった!(可能性が大きい)

《放射性物質は汚染防止法の適用除外》
〈原発から45キロ離れたゴルフ場が放射能の除去を求めた裁判で、東京地裁はわけのわからない理由をあげ、除去を命じることはできないとした。日本には汚染を防止するための立派な法律があるのに、放射性物質は適用除外となっていた。そして環境基本法のなかで放射性物質による各種汚染の防止については、「原子力基本法その他の関係法律で定める」としておきながら、実は何も定めていないのである。放射能はいくら環境を悪化させても、法的には汚染ではないから、除染も賠償もする義務はない状況にある。よっておかしな判決が出ることになる。〉

 言うまでもなく、由々しき事態である。

 由々しき事態の指摘・説明はまだ続くので、一区切り、させていただきます。

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コメント 8

majyo

国によるトリック、官僚によるトリック
マジシャンでもあるまいし・・・(ー_ー)!! オコッタゾー
なぜ国民を騙すのでしょう
以前は、高位の官僚がテレビに映ると
頭が良い人たちと思っていましたが
今は? ああ…罪悪感の無い人たちなんだと思い知らされています。
本当に、この国の仕組みを多くの方にわかっていただきたい
by majyo (2015-05-13 12:13) 

momotaro

さあ、鬼が島に鬼退治に行くぞー!
いい歳して、段々その気になってきちゃいますよねー
行くときは、みんなで行きましょうねー
(まだちょっと腰が引けている?)
by momotaro (2015-05-13 14:36) 

トックリヤシ

もういい加減騙されやすい国民から卒業しなければ・・・、
振り込め詐欺に引っ掛かるのと同じだもんね。。。
by トックリヤシ (2015-05-13 15:09) 

momotaro

トックリヤシ さま
南の島に、台風が長くとどまらないでよかったですねー
> 振り込め詐欺に引っ掛かるのと同じだもんね。。。
そう言えば、お偉いさんのお顔が、詐欺師の顔に見えてきました。
騙されるほうも、騙すほうも、いい加減で目覚めたほうがいいですよね!
by momotaro (2015-05-13 21:56) 

ファルコ84

>「統治行為論」
>放射能はいくら環境を悪化させても、
>法的には汚染ではないから、除染も賠償もする義務はない
どれもこれも責任逃れの何者でもない
政治家・官僚・司法・・
いつになったら国民目線になれるのなか
目を覚ましてほしい

by ファルコ84 (2015-05-13 22:04) 

gonntan

頭の良い方はいつも上から目線です
上からしかものを見たことがないから気がつきませんね

私たちもテレビで黄門さまを見るように
アメリカ幕府の派遣した悪代官ABeの心臓を「これが目に入らぬか!」
と言って懲らしめてくれる副将軍様を待ちわびてる気持ちがどっかに
ありますよね

自分たちが立ち上がらないと変わらないのは江戸時代も今も同じです
by gonntan (2015-05-13 22:34) 

SUN FIRST

たしか中学時代に習った?「三権分立」って、立法・行政・司法が正三角形になってて・・・と記憶してましたが、三権は不文律なんだとあらためられました。momotaro著書(友よ、戦争をしない世界を創ろう!)の著者紹介欄では=中・高生の学習指導をして今日に至る=とありましたが、著者は三権分立について中高生にどのように解説されてきたのでしょう?
ま、それはさておき、「日本と地球と人類を愛する至って普通の日本人」の独自の視点で著された書の内容には吹き出したり腹を抱えて笑ったりさせられました。とくに、第二章石原慎太郎が見えた・他、第三章「美しい国へ」安倍晋三評は、よくぞ解説したなと思いました。ひとりでも多くの方が読まれることを期待します。

by SUN FIRST (2015-05-14 01:44) 

momotaro

ファルコ84 さま
『日本はなぜ…』の著者は現代日本の為政者のやり口を
見事に説き明かしてくれていますよね。
その労を無にすることがないよう、お互いに頑張りましょう!

gonntan さま
日本は、歴史認識が問われ続けていますが、政府ばかりでなく
国民レベルでも、しっかり反省する必要があると最近痛感しています。
無関心・お任せは、支持・賛成と同じ結果になりますからね。

SUN FIRST さま
モモ太郎の三権分立の解説は、高校入試の対策でやっていたため、教科書やワーク教材に書いてあるままの、互いにけん制し合う三角形の丸暗記のお手伝いでした。それは、見事に形だけでした。
機能不全に陥っていることが完全に明らかになった今では、顔が引きつって、とても、丸暗記のお手伝いはできません。
入試に出題されたら、県教委に猛烈抗議してしまうでしょう。

『友よ、戦争をしない世界を創ろう!』について
> 吹き出したり腹を抱えて笑ったりさせられました。
> とくに、第二章石原慎太郎が見えた・他、
> 第三章「美しい国へ」安倍晋三評は、よくぞ解説したなと
> 思いました。ひとりでも多くの方が読まれることを期待します。
ご感想ありがとうございます。嬉しくて復唱してしまいました。



by momotaro (2015-05-14 22:12) 

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