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『日本はなぜ、「基地」と「原発」を…』を読んで その5 [『日本はなぜ、「基地」と「原発」を・・・』]

   PART1 沖縄の謎(後半)

《本土の米軍基地から、ソ連や中国を核攻撃できるようになっていた!》
〈嘉手納空軍基地には弾薬庫が隣接していて核兵器が貯蔵されており、それが本土の米軍基地に運ばれ、そこからソ連や中国を爆撃できるようになっていた。〉

 今となっては「あ、そうですか」だが、日本政府は、被曝国民の感情に配慮して、非核三原則とやらを掲げ、その順守を看板にしてきた。だがそれは、実はただの方便で、為政者に核アレルギーなどは微塵もなく、核兵器配備の最前線に、国を置いていたのであった。「国民を騙しつづけた70年」の一つとしてカウントしておこう。

《憲法九条二項と、沖縄の軍事基地化はセットだった》
〈憲法九条を書いたマッカーサーは、沖縄を軍事要塞化して嘉手納基地に強力な空軍を置きそこに核兵器を配備しておけば、日本本土に軍事力はなくてもいいと考えた。従って「反戦・護憲平和主義者」という立場は、現実の歴史的立場に基づいていなかった。〉

 ここでの指摘を敷衍すると、このセットは、アメリカにとっては一石二鳥だったことがわかる。一つはソ連と共産化した中国の喉元に核兵器を保有・維持し威圧することと、日本の非武装化を実現することである。また「反戦・護憲平和主義者」は、アメリカの核の傘に入っているという現実を踏まえて、主義主張を練り直す必要があるということである。

《驚愕の「砂川裁判」最高裁判決》
〈第二代最高裁判所長官田中耕太郎が、1959年、駐日アメリカ大使から指示と誘導を受けながら、在日米軍の権利を全面的に肯定する判決を書いた。その影響で、在日米軍の治外法権状態が確定した。〉

《憲法と条約と法律の関係―低空飛行の正体は航空法の「適用除外」》
〈一般に条約は国内法よりも上位にある。日米安全保障条約と日米地位協定により、航空特例法が作られ、航空法の適用除外となった。〉

《アメリカ国務省のシナリオのもとに出されて最高裁判決》
〈条約よりも憲法が上位にある。ところが砂川裁判で、田中耕太郎は日米安保条約のような高度な政治的な問題については、最高裁は憲法判断をしないでよいという判決を出した。このとき、安保条約とそれに関する取り決めが、憲法をふくむ日本の国内法全体に優越する構造が法的に確定した。これがアメリカ政府の指示と誘導によって進行したという事実は、2008年アメリカの公文書によってあきらかになった。〉

 最高裁の判決まで他国の影響を受けていたのである。政府はそんな事実を知りながら、平然と「三権分立の民主国家」を標榜し政を続けていた。今もそうだ。「日本国民の人権は何が守るのか? こんな国に税金を納める必要があるのか?」的な衝撃を受ける指摘だ。
 思えば、憲法を変えようと言っている人たちが政治をしているのだから、それが機能不全を起こしても、問題すら感じないのかもしれない。こういう人たちに政治を任せることは、もう止めよう!

《「統治行為論」という、まやかし》
〈この判決の根拠を日本の保守派は「統治行為論」と呼び、法学上の公理のように扱っているが、これはあきらかにおかしい。条約を結んだのは国なのだから、相手国のアメリカが何をしようとあずかり知らないというのでは、憲法がある意味がない。〉

《アメリカやフランスでも、日本のような「統治行為論」認められていない》
〈この問題の第一人者である小林節慶大教授によれば、フランスの判例のなかに統治行為の概念規定、理論的根拠ともになく、根拠条文も一度も引用されていないとのこと。アメリカでは判例のなかに「政治問題」という概念が登場するが、それは絶対的な国益の確保を前提として、一時的に権力を大統領ほかに統合するという考えで、日本の「統治行為論」とはまったく違う。最も重要な問題について絶対に憲法判断をしないという最高裁そのものが日本国憲法に完全に違反した存在である。〉

 日本国に憲法はあっても、それを守る機関はなかった! そういう役職はあって、高い給料は出ているにもかかわらず…

《アメリカとの条約が日本国憲法よりも上位に位置することが確定した》
〈砂川判決が深刻な最大のポイントは、アメリカとの条約群が憲法をふくむ日本の国内法よりも上位にあることが法的に確定してしまったことにある。日米地位協定のもとに「日米合同委員会」という組織があり、日本のエリート官僚と在日米軍のトップたちが毎月二回会議をし、公表されないまま膨大な取り決めがなされている。〉

 政治家が陰に陽に影響を受けているとは思っていたが、実務レベルでも完全に掌握されていたのであった。官僚たちは、日本国民に対してではなく、米軍に対して配慮していた可能性が強い。

《官僚たちが忠誠を誓っていたのは、「安保法体系」だった》
〈官僚というのは法律が存在基盤のため、下位の法体系より、上位の法体系を優先して動く。鳩山首相を失脚させたのは、安保法体系に忠誠を誓う官僚たちだった。〉

 官僚は裁判で負ける側には付かないとの指摘もある。一度法体系が狂うと、それを修正しようというハート、正義感、良心は、官僚たちには皆無のようだ(例外もたまにはある)。頭は良いとされているが、役には立たない人たちだ。

 以上でPART1は終わる。すでにかなりのショックを受けている。
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コメント 4

majyo

改めてこのようにいくつも書かれていると
やはりショックですね。
忘れていたものもありますから・・・・・
安倍総理がアメリカで国賓待遇とか!
そうでしょ! 言われた通りに憲法を無視し
アメリカのいう事を聞くのですから
沖縄の謎の解説ありがとうございました
by majyo (2015-04-29 22:12) 

momotaro

なんだかなぁ~さん、kiyoさん、majyoさん、
ねじまき鳥さん、ちょんまげ侍金四郎さん、
nice をありがとうございます。
majyo さん、コメントもありがとうございます。
「改めて…ショック…安倍総理が…国賓待遇!
そうでしょ! 言われた通りに…」まったく同じ思いです。
いつもコメントをありがとうございます。
by momotaro (2015-04-30 09:51) 

ファルコ84

新しい事実を知るたびに
驚きの連続です
憲法・協定・法律の順
協定が変わると関連する法律が改定される
最高裁ですら判決を他国にうける
数え切りませんが
先ずは、事実をしっかり勉強したいと思います

by ファルコ84 (2015-05-01 10:15) 

momotaro

ぼんぼちぼちぼちさん、さらまわしさん、ファルコ84さん
niceをありがとうございます。
今、PART2 に取り組んでいるのですが、
不条理の訳を明らかにしていくというのは
結構しんどいですよね。
矢部さんの後をなぞっているだけでも・・・

by momotaro (2015-05-01 20:44) 

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