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『日本はなぜ、「基地」と「原発」を…』を読んで その4 [『日本はなぜ、「基地」と「原発」を・・・』]

   おことわり

 本書は、日本の置かれた立場を、読者にわかりやすく伝えようとして書かれている。そのため、本書で得られた情報を分かりやすくお伝えしようとすると、本書そのものになりかねない。そこで、要約することは諦めて、要約せずに、印象に残っているところ、一段と糾弾すべきところなどを思いつくままに書くしかないだろうと思っていた。しかし、いざ取り組んでみると、やはり本書の指摘することを前提にしているので、前提事項を確認しておくことが欠かせないことに改めて気がついた。
 そこで、理由の説明や解説は全面的に原書にお任せすることにして、見出しとそこでの指摘のみを挙げながら、思うことを述べることにしたい。

   PART1 沖縄の謎

《沖縄で見た、日本という国の真実》
〈米軍の飛行機は日本の上空をどんな高さで飛んでもいいことになっているが、アメリカ人が住んでいる住宅の上では絶対に低空飛行訓練はしない。〉

《米軍機はどこを飛んでいるのか》
〈米軍機は沖縄という島のなかで、アメリカ人の家の上は危ないから飛ばないけれども、日本人の家の上は平気で低空飛行する。〉

《「日本の政治家や官僚には、インテグリティがない」》
〈インテグリティとは人格上の統合性、首尾一貫性。こうした状態をただ放置している日本の政治家や官僚たちは、アメリカ人の交渉担当者から、心の底から軽蔑されている。〉

《沖縄の米軍基地をすべて許可なしで撮影し、本にした》
〈『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること―沖縄米軍基地観光ガイド』を10年以下の懲役を覚悟して?作った。〉

《2010年六月、鳩山・民主政権の崩壊》
〈鳩山民主党政権の無残な崩壊に対しての怒りから基地写真集を発行した。〉

《本当の権力の所在はどこなのか?》
〈国民の圧倒的支持を受けて誕生した新政権のNo1とNo2を、検察が攻撃しつづけた。大手メディアも足並みをそろえた。この時点で日本の本当の権力の所在が、オモテの政権とはまったく関係のない別の場所にあることが、露骨な形でわかることになった。〉

《官僚たちが忠誠を誓っていた「首相以外のなにか」とは?》
〈鳩山政権は、官僚の造反によって崩壊させられた。それはアメリカ政府の公文書によって裏付けられている。〉

《昔の自民党は「対米従属路線」以外は、かなりいいところもあった》
〈アメリカの世界戦略のパートナーとして誕生した自民党も、森・小泉政権以前は、かなりいいところもあったが、完全に行き詰まった。そこで日本国民は、極端な対米従属路線の修正も含めて、本格的な政権交代という大きな一歩を踏み出した。〉

《日本国民に政策を決める権利はなかった》
〈日本人は民主主義の枠組みのなかで政策を選んできたと思っていたが、最初から選ぶ権利などなかったことがわかり、非常に強い怒りがわいてきた。そして、その象徴である沖縄の米軍基地問題を調べ、本にしようと思った。〉

《原動力は、「走れメロス的怒り」》
〈完全なノンポリが、子どものような正義感で写真家と二人、沖縄に出かけていった。〉

《沖縄じゅうにあった「絶好の撮影ポイント」》
〈どの米軍基地にも監視するポイントが必ずあるので、許可なしで、「沖縄米軍基地・観光ガイドブック」ができた。〉

《「左翼大物弁護士」との会話》
〈掲載する写真がほぼ決まった段階で、問題に詳しい弁護士に原稿をチェックしてもらったところ、逮捕すると本が余計に売れてしまうので、そのようなことはたぶんないだろうとの返答を得た。〉

《沖縄の地上は18%、上空は100%、米軍に支配されている》
〈基地そのものは地上面積の18%だけれども、そこから飛び立った米軍機はアメリカ人の住宅上空以外どこでも飛べる。〉

《日本じゅう、どこでも一瞬で治外法権エリアになる》
〈実は地上も潜在的には100%支配されている。「アメリカ政府の財産がある場所」はどこでも一瞬にして治外法権エリアになる。〉

《沖縄国際大学・米軍ヘリ墜落事故》
〈2004年に起きた米軍ヘリ墜落事故直後、隣接する普天間基地から数十人の米兵が沖縄国際大学になだれこんで、事故現場を封鎖した。日本の警察も消防も知事も、米軍の許可がないと中に入れないという状況が露呈した。〉

《東京も沖縄とまったく同じ》
〈首都圏上空にも横田空域という米軍の管理空域がある。法律は日本全国同じなので、沖縄で起こったことは本土でも起こり得る。〉

《「占領軍」が「在日米軍」と看板をかけかえただけ》
〈70年前米軍は沖縄の海岸に多くの軍艦でやってきて上陸し一帯を占領。1945年からずっと同じ形で同じ場所にいる。〉

 PART1のまだ半ばだが、少しコメントを挟ませていただきたい。
 これまで見てきたように、この本は、整った論理体系を用いて、著者の主張の正しさを論証しようという体裁の書ではない。われわれが日常、あるいはときたま眼にする政治の不思議を拾い集めて、それらの一つひとつが実はたいへん大きな問題であることと、そういう事態を招いている法的・制度的原因の存在を知らせようとするものである。そして、それらを紡ぎ合わせることによって、日本の社会が秘密裏に抱えている大きな不合理を国民の意識に上らせ、解消へのきっかけにしようという意図で書かれている。

 さて〈70年前米軍は沖縄の海岸に多くの軍艦でやってきて上陸し一帯を占領。1945年からずっと同じ形で同じ場所にいる〉との指摘との関連で触れておきたいことがある。あるいはお気づきの方も多いと思うが、この度の辺野古移転に関して、翁長沖縄県知事は「沖縄はこれまで、どこも、基地としてお使いくださいと差し出したところはない」としばしば発言されている。一方、政府は、普天間基地の恒久化を避けるための止むを得ない代替地だと説明している。
 翁長知事の発言の趣旨は、「戦争の結果占領されたものは、成り行きとして一時的に服するしかないが、いつまでその状態が続くのか、いい加減に帰してくれてもいいだろう」という、極めて当然の、だれが聞いても理解できることなのだと思う。「なぜ代りの場所を自ら提供しなければならないのか、そんなつもりは毛頭ない。アメリカにしっかり告げてくれ」との思いなのだろう。
 日本政府よりも、沖縄の対応のほうが、間違いなく筋が通っている。

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ファルコ84

>日本政府よりも、沖縄の対応のほうが、間違いなく筋が通っている。
私も正にその通りだと思います
政府は、自分の無策を棚に上げて
いう事を聞かない沖縄
とでも思っているのでしょう

本日、夕方帰宅したら
オレンジの本書が宅急便にて
届いていました。
「なぜ」の理由に迫ってみたいと思います。
by ファルコ84 (2015-04-26 20:18) 

gonntan

2冊買ったので、1冊は地元の図書館に他の本と一緒に寄付しようと思っています。図書館にあるか尋ねたら「県立にしかないから取り寄せになります」と言われたので。たくさんの方に読んでもらいたいですね。
by gonntan (2015-04-26 22:18) 

momotaro

コメントありがとうございます。

ファルコ84 さま
> 政府は、自分の無策を棚に上げて
  いう事を聞かない沖縄
  とでも思っているのでしょう
きっとそうでしょう。国としての本来の在り方など
頭からすっぽり抜けてしまっているでしょうから。
それで、高い税金をもらって生きているのですから・・・
「なぜ」の理由、ぜひ確かめてみてください。

gonntan さま
図書館にご寄付とは、さすが善いことをなさる。
一人でも多くの方に読んでもらいましょう!

by momotaro (2015-04-27 10:55) 

majyo

momotarou様

沖縄の謎について 良く書かれていますね パチパチ
本当にこれはまとめられないです。すべてと言っていいくらい
書かれていることが問題ばかりです。
マジョは頭へ来て、何なんだーと叫ぶくらいですから
冷静な(^_-)-☆ しかし要点のみをしっかり押さえている事に
感謝と拍手!
先ずは知っていただきたいですね

by majyo (2015-04-27 18:58) 

momotaro

結局要約することになりました。
作業としては、大分、楽です。
> 沖縄の謎について 良く書かれていますね パチパチ
誉められてしまいましたが、よく書いているのは矢部先生ですから。
アベ先生はワシントンで大歓迎されていますが、
あれは日本の大損の証です。
アベとヤベの役職が逆だったら、どんなに日本が救われるかと・・・
ため息が出ます
by momotaro (2015-04-28 22:51) 

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