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友よ、戦争をしない世界を創ろう! 番外2 [『友よ、戦争をしない・・・』広場]

   友から届いたメール第三弾

 この記事を書き始めるきっかけとなったメールの主から第三のメールが届いた。沖縄問題についてはかなり共通の認識を持っていることが確認できたが、さて今回はどうだろう。まずは、ご意見をじっくり伺うことにしよう。お読みになった方のご意見・ご感想も聞かせていただけたら幸いである。

 以下が友から届いたメールだ。

「 沖縄の話が受けたようなので、2匹目のどじょうを追って我がブログの原稿を2つ送ります。この2つは上の句と下の句のセットなので同時に掲載してくださいな。

 2番目の「南原繁と憲法九条」は、1番目の番組の中で集団的自衛権の部分かなんかの時に半藤氏がちらりと「南原繁は9条には別の考えがあった」というようなことを言ったので気になって調べた結果で、最初から1番目の記事と関連性を意図して持たせたわけではありません。結果としては似たようなことを言っているな、と密かに思っているだけです。
 なお、1番目の記事は今回に合わせて加筆しています。

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   2つの報道番組(1542) 2015.1.12作成 2015.1.14掲載

どちらもBSですが、プライムニュース(フジ)と週刊BS-TBS報道部(TBS)で戦後70年を考える対談をしていまして、フムフムと両方録画しました。
プライムニュースの方は1/5に放送されたもので、戦争突入の理由などを半藤一利氏(作家)と加藤陽子氏(近代史 東大大学院教授)に聞くというものでして、もう一方の1/10送の-TBS報道部のテーマは「あの戦争をどう伝えるのか」というもので出演者は保阪正康氏(作家)と半藤一利氏(作家)で、半藤氏は両方の番組に顔を出していました。

でまあ、感じたのはTBSの方が司会者の姿勢が、根拠の説明もなくあの戦争は間違いだったという決めつけということと、戦争証言は軍隊のどの階層から多いかという説明ボードで縦軸に階級、横軸にポジション(戦場、大本営など)で、左官以上の高級将校は大本営という軍の編成を無視した決めつけがされているところに大きな違和感を感じました。
というのは、陸軍師団の大隊長は中佐、連隊長は大佐、師団長は中将だったし、軍や方面軍司令官は大将などでしたのでこの番組でいう高級将校も大本営という後方ばかりにいたわけでありません。
最前線で兵士とともに苦労をしたという将校もたくさんいたということで、例えば凄惨な大失敗となり参加3個師団の師団長は全員、軍命令違反により戦場で更迭という異常事態となった陸軍のインパール作戦に関するドキュメンタリー文学を読むと、将校も結局は人間としての出来なんだなあと実感するわけで、さすがにTBS、自分達の主張(思い込み)に合うように番組を(安易に類型的に)組み立てているな、ということがありありと分かりました。

さらに言えば、そのへんのことを熟知しているはずの二人の戦史作家も一言も違うとも言わず、補足説明もなし、ということでして戦史作家として高名なお二方にも失望しました。悪く言えばこの番組は軍隊とか戦争に無知な人達を騙していますね。
ただし、戦前の政府(軍部)は戦争の悲惨さを国民に知らせなかったとか、天皇も欺いて戦争に突入していったといったお話は、確かにその通りなんでしょうね、ということであり、BS-TBS報道部の番組の問題はその感情的(幼児的、女性的)なスタンスにあるのかな。

つまり、戦争をどのレベルで語るのかという部分で、戦場の殺し合いとか原爆、東京大空襲などの一方的虐殺という悲惨な面で戦争を見ていけば100人中100人が反対するのは当たり前、一方で政治や経済、外交といった国家運営と戦略というスタンスでは、戦争は国家意思表明の一手段として国際的にも認められているというか、どの国も持っている正当な権利(生存権)ということなので、戦場などの悲惨な殺し合いへの嫌悪、反対という観点で国家の運営を見るというのは筋違いで国を誤るのではないかと思うのです。

憲法9条では国権の発動たる戦争は放棄(1項)になっていますが、ここでいう国権とは、国家権力なのか国家の権利なのか。
TBSのスタンスは赤紙葉書一枚で召集し兵隊の命は一銭五厘(当時の葉書料金)で軍馬以下、といった国民に対する有無を言わせぬ国家権力的な見方をしていて、なので戦争反対ということかなと思うのですが、一方、国権を国家の権利と見ると、日本は9条で国際的に認められている権利の一つを自ら進んで放棄したということになりますが、こちらの国家の権利という観点で戦争の是非を論ずることは決して否定すべきことではなく、現実対処の一手段として必要と思うのです。

で、戦後70年で我々が考えないといけないのは、国家の権利の発動たる戦争でいかなる理由でその権利の主張が正当であったのか、戦争という悲惨な結果を招く最終手段をどうして回避できなかったのか、など戦前の日本の思考と行動を検証し何を教訓とするのか、ということであって、戦争の悲惨さが主になってしまうと話は感情論から離れられないので、それだけではあまり意味はないというか、戦争はダメ、という結論は見えているし誰も反対しないことなので、感情論から戦争を論じても結論は明らかであまり得られるものはないと思うのです。かくいう私も戦争は絶対反対ですよ。

ということで、TBSの番組はある意味、子供だましで相変わらずの正義ぶった偽善的・結果論的な観点から作った「物語」かなと思った次第。どうせ正義ぶるなら東条首相などいわゆるA級戦犯に留まらず、当時の国家指導者たちを一網打尽にして調べ上げて戦争責任(自国民殺害や財産破壊など)を追及する番組を正々堂々とやったらどうだと言いたい。昭和天皇の戦争責任を含めてね。右翼連中が怖くてそこまでの勇気はないでしょうけど。

一方のプライムニュースはTBSほどの誘導はないように思えます。生番組ですし、司会者のスタンスも意図した結論への誘導的ではないと思いますので、プライムニュースがましかな。

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   洞察と卓見(1543) 2015.1.12作成 2015.1.15掲載

南原繁と憲法九条

1946年(S.21第90回、帝国議会。6月28日衆議院本会議)

・・・・…第二項目としていわゆる戦争抛棄の条章にしてでございます、これは新たに更生しました民主日本が、今次の不法なる戦争に対する贖罪としてでばかりでなく、進んで世界の恒久平和への日本民族の新たな理想的努力を捧げるその決意を表明するものとして、我々の賛同惜しまざる点でございます、

殊に此のことは、古来幾多の世界の哲学者乃至宗教家の夢想し、構想して参つた理想が、はしなくも我国の憲法に於いて是が実現されるものとして世界人類史上に新たな意義を持つものとして我々は之を重大に考へるものであります、

それだけに問題があることを又私共は考へなければならぬのであります、理想高ければ高いだけ、それだけに現実の状態を認識することが必要でございます、
さうでなければこれは単なる空想に終るでございませう、本案が発表されました当時に「アメリカ」の新聞の批評の中に、是は一個の「ユートピヤ」に過ぎないと云ふことがありましたことは、兎角我々の反省すべき点であると思ふのでございます、戦争はあつてはならぬ、是は誠に普遍的なる政治道徳の原理でありますけれど、遺憾ながら人類種族が絶えない限り戦争があると云ふのは歴史の現実であります、

従って私共は此の歴史の現実を直視して、少くとも国家としての自衛権と、それに必要なる最小限度の兵備を考へると云ふことは、是は当然のことでございます、吉田総理大臣は衆議院に於けるご説明に於きまして、是迄自衛権と云ふ名の下に多くの侵略戦争が行はれて来た、故に之をいってきするにしかずと云ふ御説明であるやうでありますが、是は客観的に其の正当性が認められた場合でも、なおかつ斯かる国家の自衛権を抛棄せむとせられる御意思であるのか、即ち国際連合に加入する場合を現在の草案は予想して居ることと考へますが其の国際連合の憲章の中には、斯かる意味の国家の自衛権と云ふことは承認されて居ると存じます、
尚又国際連合に於きまする兵力の組織は、特別の独立の組織があると云ふことでなしに、各加盟国がそれぞれ之を提供すると云ふ義務を帯びて居るのであります、

ここに御尋ね致したいのは、将来日本が此の国際連合に加入を許される場合に、果して斯かる権利と義務をも抛棄されると云ふ御意思であるのか、斯くの如く致しましては、日本は、永久に唯他国の好意と信義に委ねて生き延びむとする所の東洋的な諦め、諦念主義に陥る危険はないのか、むしろ 進んで人類の自由と正義を擁護するが為に、互に血と汗の犠牲を払ふことに依つて、相共に携へて世界恒久平和を確立すると云ふ積極的理想は却て其の意義を失はれるのではないかと云ふことを憂ふるのであります、

それのみならず現在の国際政治秩序の下に於ては「アメリカ」国の或評論家が批評致しましたやうに、いやしくも国家たる以上は、自分の国民を防衛すると云ふのは、又其の設備を持つと云ふことは、是は普遍的な原理である、
之を憲法に於て抛棄して無抵抗主義を採用する何等の道徳的義務はないのであります、又何れの国家に於きましても、国内の秩序を維持するが為には、警察力だけでは不十分であります、本来兵力を維持する一つの目的は、斯かる国内の治安の維持と云ふことも考へられて居るのであります、

殊に日本の場合には、将来を想像致しますると国内に於きまする情勢の不安、其の状態は相当覚悟して居らなければならぬと思うのであります、政府は近く来たらむとする講和会議に於て、是等内外よりの秩序の破壊に対する最小限度の防衛をも抛棄されると云ふことを為さらうとするのであるか、此の点を御尋ね申し上げたいのであります、若しそれならば既に国家としての自由と独立を自ら抛棄したものと選ぶ所はないのであります、国際連合は決して国家の斯かる自主独立性を否定して居りませぬ、寧ろそれを完全なものにする為に、互に連合して、世界に普遍的な政治秩序を作らうと云ふのが其の理想であります、

国務大臣(吉田茂)

・・・・・・又戦争抛棄に付て、将来国際連合にいる意思であるか、或は自主的、自衛的の戦争をも抛棄したのであるかと云ふ御尋ねでありますが、今日は日本と致しましては、先づ第一に国権を回復し、独立を回復することが差迫つての問題であります、
此の国権が回復せられ、さうして日本が再建せられる此の目下の差迫つた問題を政府は極力考へて居るのでありまして、万事は講和条約或は国家の態勢が整ふと云ふことを、政府として極力其の方向に向つて努力して居る訳でありまして、それ以上のことは御答へ致すことは出来ないのであります、・・・・・・・・・・・・・・・
(以上、第90回帝国議会衆議院議事速記録第二十四号に拠る)

南原繁について

政治哲学者の南原繁は、第2次世界大戦後の1945年末~51年に東京大学総長をつとめ、大学再建に尽力した。この時期の総長演説は広く社会に紹介され、 戦後の混乱期に日本国民への大きな励ましともなった。講和条約の締結にあたっては、全面講和を主張し、それを「曲学阿世の徒」と非難する吉田茂首相と論争を展開した。一方では、日本政治学会の初代会長をつとめ、後進の育成にも力をいれた。

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 以上である。
 さすが勉強家で物知りの友だけあって、たいへん参考になる資料を添えてくれた。感謝している。意見の合わない部分は、今後じっくり検討し合うことにしよう。



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majyo

今回は沖縄問題とは違い少々違和感があります。
それをmomotarouさんはどう返されるのか?
言葉尻をとらえるのでなく、幼児的、女性的なスタンスとしての
私は、期待したいです
by majyo (2015-01-17 20:28) 

さきしなのてるりん

[TBSの方が司会者の姿勢が、根拠の説明もなくあの戦争は間違いだったという決めつけ]と言われているのはそうではないという意見をお持ちなのでしょうか。侵略戦争ではなかったと?ここのところで私は突っかかってしまいました。最前線で兵士とともに苦労をしたという将校もたくさんいた。。。彼らも大元帥の下での犠牲者であるということですかね?A級戦犯とかの汚名を着せられてかわいそうとか。戦犯として処刑されたきけわだつみの声の元陸軍上等兵・木村久夫なんかもいるわけだから。一つ一つの事例にこれはいいひとこれは悪いひとというのも不毛な議論になるような気もします。結局、あの戦争が正義の戦争だったという歴史認識に立つ安倍首相の立ち位置を正しいとするかどうかのような気がするのですが。

by さきしなのてるりん (2015-01-17 20:53) 

momotaro

majyo さま、さきしなのてるりん さま
疑問の提起、またご要望ありがとうございます。
momotaroも反論したいことが多々ありますが
その前に書かなければならないことがありますので
少し先に行ってしまいます。ご容赦くださいますよう。
by momotaro (2015-01-17 22:19) 

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

ご訪問とnice及びコメント、
ありがとうございます。
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2015-01-17 23:26) 

momotaro

なんだかなぁ〜!! 横 濱男 さま
こちらこそ、ありがとうございます。
しばし寛がせていただきました。  燦Q
by momotaro (2015-01-19 10:28) 

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