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国家改造の戦略を読む ② [続・友よ、戦争をしない世界を創ろう!]

《国家改造の戦略を読む ②》

〈戦略 その5 集団的自衛権の行使で憲法突破の実績づくり〉
 この国を戦争のできる国に変えるのです。明らかな障害は日本国憲法です。日本国憲法には、言うまでもありませんが、その前文に
【政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し】とあります。また【日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。】ともあります。
 そして、第九条は
【 第九条[戦争放棄、軍備及び交戦権の否認]
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。】となっています。

 これでは戦争はできません。国家の威厳を内外に示す力(=軍事力)の裏付けができません。この憲法はいまの日本にとって不適切と考えます。
 こう考えた時点で、この人は、実は公務に着けなくなります。なぜなら、憲法には下記の条文があるからです。
【 第九十九条[憲法尊重擁護の義務]
 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。】
 つまり、憲法を不適切と考える人が総理大臣になることは、すでに想定外の出来事なのです。また明らかに憲法に違反しているのです。いくら当人が「私は法治主義だ」とか「現内閣は憲法を遵守する」とか言っても、内閣総理大臣という公的立場を利用して、従わなければならない憲法を変えようとすることは、明らかにあってはならない、日本中のマスコミが目を丸くして「日本国のみなさん、大変なことが起こっていますよ、放置していていいのですか?」と毎朝、毎晩叫ばなければならない異常な事態なのです。

(ここでちょっと補足の必要が出ました。戦略その3のところで「解散権は確かに内閣総理大臣にある訳ですが」と書きましたが、それははっきりとした根拠がないことが分かりました。憲法にあるものと何となく思っていましたが、「衆議院の解散」について述べている条文はなく、あるのは、「衆議院が解散された場合」の規定のみでした。「総理の専権事項」とよく言いますが、勝手にそういうことにしているだけでした。)

 さてシンゾウ・アベはそんなこと(自分が憲法の許容する政治家ではないこと)は想定内です。いまの憲法が不適切と考えるのですから、その憲法に違反していても、なんら心の痛むことではありません。ただ、立場上、波風を少なくするための方便として、「憲法遵守」と言っているだけです。
 この70年間、日本の最高法規として君臨していた憲法をどうやって変えるか、その方策を考えます。自分の考える憲法改正に賛成する国会議員を三分の二集める選挙対策ももちろん必要ですが、憲法改正の機運を、国民の間に起こす必要もあります。それには、現憲法が、いまの国際情勢に合わなくなっているということを示せばよいと考えます。
 「いまの国際情勢」と言っても見方は様々です。韓国は竹島を領有しようとしているとか、中国は尖閣列島に進出しようとしているとか、そういう情勢を声高に宣伝して、日米同盟の大切さを訴え、「アメリカが日米同盟で守ってくれなければ、日本は簡単に侵略されてしまう。守ってもらう以上、米軍が攻撃を受けたときには共に闘うのが当然の義務だ」と、集団的自衛権の行使を容認する方向に舵を切ります。そして、それを認める安保法制を作ります。
 参考までに Wikipedia の当該記事より「概要」をご紹介します。(注記は省略します) https://ja.wikipedia.org/wiki/平和安全法制

【 概要[編集]

「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」(平和安全法制整備法案)は、自衛隊法、周辺事態法、船舶検査活動法、国連PKO協力法等の改正による自衛隊の役割拡大(在外邦人等の保護措置、米軍等の部隊の武器保護のための武器使用、米軍に対する物品役務の提供、「重要影響事態」への対処等)と、「存立危機事態」への対処に関する法制の整備を内容とする。

また、「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案」(国際平和支援法案)は、「国際平和共同対処事態」における協力支援活動等に関する制度を定めることを内容とする。

第3次安倍内閣は、2015年(平成27年)5月14日、国家安全保障会議及び閣議において、平和安全法制関連2法案を決定し、翌日、衆議院及び参議院に提出した。

衆議院では、同年5月19日、我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会(浜田靖一委員長)を設置して平和安全法制関連2法案が付託され、審議が開始された。同年7月15日には、同特別委員会で採決が行われ、賛成多数により可決。翌7月16日には衆議院本会議で起立採決され、自民党・公明党・次世代の党(現:日本のこころを大切にする党)などの賛成により可決。参議院へ送付された。

参議院では、同年9月17日には、我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会(鴻池祥肇委員長)で採決が行われ、賛成多数により可決。同日午後8時10分に参議院本会議開会。翌々日の9月19日午前0時10分には参議院本会議が改めて開会された。17日の参院特別委員会で採決が混乱し、野党側は無効だと指摘したが、鴻池祥肇委員長は本会議の冒頭、「採決の結果、原案通り可決すべきものと決定した」と報告。その後、各党が同法に賛成、反対の立場から討論を行った後、記名投票による採決がされ、自民党・公明党・次世代の党・新党改革・日本を元気にする会などの賛成多数により午前2時18分に可決・成立。さらに、政府は平和安全法制による自衛隊海外派遣をめぐる国会関与の強化について5党合意を尊重するとの閣議決定をした。同月30日に公布された。

政府は、平和安全法制関連2法が「公布の日から六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」としていることを踏まえ、2016年(平成28年)3月22日の閣議で施行日を同月29日とする政令と自衛隊法施行令をはじめとする26本の関連政令を改正する政令を制定する閣議決定をした。

2016年(平成28年)3月29日午前0時から施行した。】

 自衛隊法など10の法律を一括改正する大がかりなものでした。集団的自衛権の行使は違憲であるとの憲法学者の意見も出されました。2015年8月30日には、これに反対する10万人(諸説ある)の人々が国会前に集まり、抗議の声を挙げました。

 にもかかわらず、法案は国会を通過したこととされ、2016年3月29日より施行されました。

 この法制度は、大半の憲法学者が「違憲」と言い切るくらい憲法から逸脱したものですが、シンゾウ・アベは意に介しません。理由の一つは、アメリカの要望を叶えるものであること、もう一つは、まさに、憲法から逸脱していることです。大変強引な人です。無理をしてでも、憲法からまず外に出てしまいたいのです。そして、いわゆる既成事実を作り、自分が勝手に作り出した「現実」に対して憲法が合わなくなっていると人々に思わせたいのです。
 憲法を守ろうとすれば違った現実ができるのに、変えたい一心で、憲法が合わなくなったと思わせる現実を、大急ぎで作っているのです。

 自衛隊員に犠牲が出ることも、少しも恐れていないでしょう。そういう事実をどんどん積み上げたいのです。それが国民あるいは自衛隊員(軍人)と国家(=政府)との正常な関係だとあの人は思っているのです。
 戦後70年間の考え方とはおよそ違うのです。

 本日はこの辺で。
 今宵もいい写真はありません。強いて載せるとすればこんなところです。
IMG_3944 (2).jpg

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 夏は外に出し放しでろくに構わないのですが、冬になると凍みてしまうので室内に入れて、ときどき水を遣ります。遣るからにはきれいな方がいいと、ふるい株を取り除き、鉢を取り換えたりしました。まったくの素人なので、枯れてしまうか、活き活きして花芽をつけるか、とんとわかりません。
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 足はこんなでまだまだ痛そうですが、実は、段々やわらいできています。昨夜は足を持ち上げて風呂に入りました。片足を持ち上げたまま風呂に入るのは、結構難しいことが分かりました。でもできましたので、今日もやってみます、これから。
 ご訪問に感謝します。特に今日は引用があって長くなってしまったのでお手数をおかけしました。
 
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コメント 10

kazg

いよいよ本丸ですね。
by kazg (2016-12-26 08:44) 

SUN FIRST

 真珠湾攻撃開戦内閣閣僚(=戦犯)ながら、何故か・・・?、生き延びた祖父岸信介氏を「尊敬してやまない」シンゾウ アベの根底にある魂胆は、戦時は「何でもあり」ですね。
 だから、戦争犯罪者など居ないのです。
 戦争にしてしまえば許される論理ですから、あれだけのあこぎの限りを民に押し付けておきながら、国は民を救うために鬼畜米英と戦った、となる。
 シンゾウ アベには矛盾がないですよね。
だから、言うに及ばず、迷いがない。当然ですが、思慮も浅いので良くも悪くもドンドン行きます。
 憲法だって、予算だって、原発だって、沖縄だって、年金だって、対ロシア外交だって、ドンドン行ってます。
 いつまで総理にしとけば民の不幸へドンドンいきます。
 人格の良さというもののにじみを感じたことの無い数少ない総理大臣です。
負傷中ながらの、執筆ごくろうさまです。


by SUN FIRST (2016-12-26 10:35) 

トックリヤシ

まさに猪突猛進するアベ、
誰も知ろうとしないし止めようともしないとは・・・
見せかけの平和に安穏としている国民がダメとしか言いようがない。。。
by トックリヤシ (2016-12-26 15:13) 

momotaro

kazg さんへ
本丸は憲法改正なんでしょうね、嫌ですね、荒れますね
自主憲法の対案をぶつけるのも手ではないですか?
by momotaro (2016-12-26 17:45) 

momotaro

SUN FIRST さんへ
まったくですね、補足解説ありがとうございます。
またねぎらいのお言葉にも感謝します。
骨折はなさそうです。打たれ強い?ぶつけ強い?
by momotaro (2016-12-26 17:54) 

momotaro

トックリヤシさんへ
> 見せかけの平和に安穏としている国民がダメとしか言いようがない。。。
今の自分がよければ、先のことや他人のことはどうでもいいんですかね???
by momotaro (2016-12-26 18:08) 

majyo

憲法を守らない人たちが
憲法を変えようとしています
難しいから、また読みます。勉強します

足、まだ痛そう・・・ホント第二指が長いのに驚きました
シンビジウム、今年も咲かせてください

by majyo (2016-12-26 20:20) 

えんや

俺が俺がのアベ首相を叩けない日本のメデイアです、、、。
憲法学者が、違憲だ、、、と言っても、その場限りの報道で
すませるメデイアなんですね。
学者は街頭で云云するんでないと、、、言ってた憲法学者の
樋口陽一さんは、アベ政権での法制局長の前例をぶっ壊しての任命に
耐えかねて街頭に立ち「集団自衛権の違憲と立憲主義」を訴え続けています。
メデイアの視線がほしいですね。

by えんや (2016-12-26 20:48) 

momotaro

majyo さんへ
まったく、憲法を守らない人たちが護憲主義だの法治主義だのと言いつつ憲法を変えようとしています。
では憲法を遵守したら憲法を変えることはできないではないかという話になりますが、憲法の精神を理解し、足りないところを補うとか、時代に合わせて部分的に変えるとかすることなら、憲法改正はできると思います。
ですがあの人たちは、まったくあの憲法が気に食わなくて、憲法違反をしながら変えようとしているわけですから怪しからん話です!
> 難しいから、また読みます。
あの人の心理を読んでいるので、難しいところは1つもないと思いますよ
> ホント第二指が長いのに驚きました
余分に長いですよね、隠しておけばよかった!
シンビジウム、今年も咲くといいんだけど、ちょっと無理かなあ・・・
by momotaro (2016-12-26 22:58) 

momotaro

えんやさんへ
> 憲法学者が、違憲だ、と言っても、その場限りの報道ですませるメデイア・・・
まったく、報道に携わる人の感覚がしっかりしていない社会は不安定ですね、時代によって揺れが激しい。
> 樋口陽一さん・・・街頭に立ち「集団自衛権の違憲と立憲主義」を訴え続けています。
立派ですね、ますます頑張っていただきたいですね!
by momotaro (2016-12-26 23:08) 

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