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戦後の日本の保守政治 [続・友よ、戦争をしない世界を創ろう!]


《戦後の日本の保守政治》

 こうした米国との関係の中で、日本の政治家はどのように日本を導いてきたのか、概観しておきます。

〈かつての自民党の政治〉

 戦後の日本の政治はその大半の期間を自民党が執り行ってきましたので、自民党について振り返っておきます。

 自民党はWikidediaには次のように載っています。(一部省略しています)
【 自由民主党は、1955年に日本民主党と自由党が合同して結成した日本の政党。自由主義を堅持する保守政党で・・・結党以来、政権与党の座にあり続け、1993年(平成5年)に自民党と共産党以外の政党による連立政権、2009~12(平成21~24)年の間は民主党を中心とする連立政権に政権の座を奪われたものの、その後は自民党と公明党の連立政権が続いている。】
 さらに【概要】として
【 1955年(昭和30年)に自由党と日本民主党の「保守合同」により結成された保守政党。太平洋戦争(大東亜戦争)前の二大政党・立憲政友会と立憲民政党、戦時中の翼賛政治の中核を担った会派である翼賛議員同盟と翼賛政治会と大日本政治会(以上3会派は日本進歩党の前身)及び翼賛政治に批判的な会派である同交会(日本自由党の前身)と護国同志会(日本協同党の前身)、また敗戦直後に結成された日本自由党と日本進歩党と日本協同党の流れを汲む。

 結党以来ほぼ全時代にわたって政権与党の座にあり、結党から60年間で野党にあった期間は4年ほどである。そのため、戦後日本を代表する政党であるといってよい。

 党の運営は、永らく執行部の権力が弱く、ベテラン政治家が「派閥」を形成してその派閥間での駆け引きで政治が行われることが常態化していた。これは、一つの選挙区に複数候補を立てる必要のある中選挙区制が採用されていたためである。同じ選挙区の同僚議員は、同じ政党でありながら当選を競い合うライバルであった。立候補者は党本部の応援を独占することができず、選挙区で個人の後援会を組織したり、さらには大物政治家の派閥に加わり、平時はその政局の駒となるのと引き換えに選挙においては派閥の援助を受けた。互いに有権者の歓心を買うため、金権政治の温床ともなった。 1990年代に政治改革の一環として選挙制度が小選挙区比例代表並立制となり、以降は党本部の統制力が強まっている。

 広報宣伝用として・・・(シンボルマークについては省略します)

 自民党は多数の政治家を輩出しており、90年代以降の政界再編で非自民勢力の大物政治家であっても、元をたどれば自民党出身者が多い。総理大臣では細川護熙・羽田孜・鳩山由紀夫、その他では小沢一郎・亀井静香・岡田克也などである。  】

 自民党は【執行部の権力が弱く、ベテラン政治家が「派閥」を形成してその派閥間での駆け引きで政治が行われることが常態化していた】。かつての自民党は、政治理念がかなり異なる人たちが政権を担当するために一つの寄り合い所帯を作っているという風情でした。自分たちの主義主張ばかりを激しく展開すると、分裂して少数政党になりかねないので、我慢して大同団結、派閥間で調整し、日の目が巡ってくるのを待っているというスタンスで政権を担当していました。

 彼らの政治的主張については、結党時の立党宣言と綱領を自民党のホームページより引用します。

【 立党宣言   昭和三十年十一月十五日

 政治は国民のもの、即ちその使命と任務は、内に民生を安定せしめ、公共の福祉を増進し、外に自主独立の権威を回復し、平和の諸条件を調整確立するにある。われらは、この使命と任務に鑑み、ここに民主政治の本義に立脚して、自由民主党を結成し、広く国民大衆とともにその責務を全うせんことを誓う。
 大戦終熄して既に十年、世界の大勢は著しく相貌を変じ、原子科学の発達と共に、全人類の歴史は日々新しい頁を書き加えつつある。今日の政治は、少なくとも十年後の世界を目標に描いて、創造の努力を払い、過去及び現在の制度機構の中から健全なるものを生かし、古き無用なるものを除き、社会的欠陥を是正することに勇敢であらねばならない。
 われら立党の政治理念は、第一に、ひたすら議会民主政治の大道を歩むにある。従ってわれらは、暴力と破壊、革命と独裁を政治手段とするすべての勢力又は思想をあくまで排撃する。第二に、個人の自由と人格の尊厳を社会秩序の基本的条件となす。故に、権力による専制と階級主義に反対する。
 われらは、秩序の中に前進をもとめ、知性を磨き、進歩的諸政策を敢行し、文化的民主国家の諸制度を確立して、祖国再建の大業に邁進せんとするものである。
 右宣言する。  】と立党の精神はなかなか見事なものでした。リベラルの気風が溢れています。

 続いて綱領です。

【 綱領   昭和三十年十一月十五日

一、わが党は、民主主義の理念を基調として諸般の制度、機構を刷新改善し、文化的民主国家の完成を期する。

一、わが党は、平和と自由を希求する人類普遍の正義に立脚して、国際関係を是正し、調整し、自主独立の完成を期する。

一、わが党は、公共の福祉を規範とし、個人の創意と企業の自由を基底とする経済の総合計画を策定実施し、民生の安定と福祉国家の完成を期する。   】これまた、国政を担おうとする政治家の志が感じられる文言と言うことができるでしょう。

 この程度のシンプルなくくりで集まれる人材が第一党を形成し、60年に岸信介が結んだ日米安全保障条約の枠内で、アメリカの要請に耳を貸しながら、国政を営んできました。日本国憲法についても、その尊厳を認め、そこから明らかに逸脱することがないよう、外交交渉したり、国内への取り繕いをしたりして、一応独立国としての体面は保ってきました。
 ただ、アメリカからの要請についてはつまびらかにせず、その点を国民に情報開示して世論の動向を求めるということはしませんでした。
 外国の要請で大きく政治が動いていると、国益を損なうことは否めません。アメリカにとって改善してほしいことを要請するわけですから、少子高齢化で国力が衰えるから対策を講じたほうがよいとか、教育の質を高めて人的資源を豊かにしたほうがよいとかという要請は出るはずもありません。こういう国内的な問題がどうしても疎かになります。
 そういう欠点(致命的?)はありますが、しかし、他派閥に配慮し、野党やマスコミにも気を使いながら、慎重に政が行われてきたと言うことはできるでしょう。

 それが、【1990年代に政治改革の一環として選挙制度が小選挙区比例代表並立制となり、以降は党本部の統制力が強まって・・・】という変化を迎えます。自民党は完全に変貌します。

 次回は自民党の変貌ぶりを概括します。

 またまた拙い文字ばかりの意見文にお付き合いいただきありがとうございました。

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SUN FIRST

次回、自民党の変貌ぶり概括に期待。
民意の反映という点で違憲性が繰り返し指摘される現行制度への改変経緯について。
前衆院選挙の得票率では小選挙区=自公49.54、野党50.46
                比例=自民公明46.82、野党が53.18
         議席数は、小選挙区=自公78.64、野党21.36
                比例=自民公明52.22、野党47.78
でした。
こんな民意無視の選挙制度はないでしょう?
どうしてこうなったのか明らかにして早急に区割りが改善されなければならないと思っています。




by SUN FIRST (2016-11-24 00:46) 

momotaro

SUN FIRST さんへ
コメントありがとうございます。
与野党の得票率と獲得議席数の乖離がひどいですね
これは、選挙制度が悪いということもありますが、選挙民が選挙結果を読まず、主義主張で入れてしまう、あるいは棄権してしまうからということもありましょう。
権力が欲しい人たちと主義主張をしたい人たちとの性向の違いが出てしまっています。
もっと大同団結して結果を求めなければいけませんよね。
この数字、次号で使わせてもらいます、サンキュウ
by momotaro (2016-11-24 07:21) 

トックリヤシ

立党時の精神なんて
とっくに棚の上に上げっぱなしで誰も存在すら知らないのでは。。。vv;
by トックリヤシ (2016-11-24 14:03) 

majyo

立党宣言も綱領も悪くは無いですね
何故変わったのか?
小選挙区制ですか? 党の力が強まる
日本独自の政治が出来なくて、アメリカの要請に沿った政治をしようとします
どこの国に、このような関係があるのでしょうか?
たくさん要請していますね。その通りにやっています

次なる変貌を楽しみに待ちます。
by majyo (2016-11-24 19:10) 

momotaro

トックリヤシさんへ
> 立党時の精神なんて・・・誰も存在すら知らないのでは。。。
そう思えるくらい、今のジミン党員には、高貴な志が感じられませんよね!
by momotaro (2016-11-24 23:55) 

momotaro

majyo さんへ
> 立党宣言も綱領も悪くは無いですね
何故変わったのか?
やはり小選挙区制の導入で政界が様変わりしましたね。政権交代のはずが独裁国家になってしまいました。
その独裁政権が今のところアメリカべったりなのですから、多様のはずの自民党がまったく機能していません。
国会がジミン党に乗っ取られ、ジミン党はabに乗っ取られました。abがなぜか人気者だからです。
> 次なる変貌を楽しみに待ちます。
すみません、明日も書けなくて・・・
by momotaro (2016-11-24 23:58) 

えんや

自民党の総理は憲法も自党の綱領も思い通りに解釈でき
施行できるんでしょう、、、
どうなってるの?、、、党員たちよ、、、ですね。
by えんや (2016-11-25 20:53) 

gonntan

トックリヤシさんも指摘してられるように
立冬宣言の終わりのほうなんか
今じゃ絵に描いた立派な餅状態ですね
自由 民主  どこにいっちゃったんでしょう
by gonntan (2016-11-25 21:44) 

gonntan

すいません
立党が立冬になってました
でもこちらのほうが似合ってるかも
by gonntan (2016-11-25 21:45) 

momotaro

えんやさんへ
> どうなってるの?、、、党員たちよ、、、
まったくですよ、総裁一人に振り回されるようでは、政治家を志した時の初心が泣いていますよ・・・
by momotaro (2016-11-25 23:18) 

momotaro

gonntan さんへ
> 自由 民主 どこにいっちゃったんでしょう
「自由民主党」ですからねぇ、どこかの民主主義人民共和国と同じですよね、これじゃ。名は体を表さず、反対を表している!
立党宣言じゃなくて、立冬、厳しい季節の宣言なんですかね〜?
by momotaro (2016-11-25 23:22) 

ファルコ84

立党宣言に感心する文言が含まれています。
おそらく知らない党員が多いのでしょう
読み返して欲しい。
まとめていただくといい勉強になります
感心している場合ではありません。
by ファルコ84 (2016-11-27 00:08) 

momotaro

ファルコ84さんへ
> まとめていただくといい勉強になります
たまには復習にいいでしょう?
みなさんご存知のことを納得してもらうように書くのはちょっとしんどいですが。
by momotaro (2016-11-27 01:14) 

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