SSブログ

治安維持法の罪 [ブログ交流で学ぶこと]

 ブログを訪問していると、学ぶことが非常に多い。

 kazg さんという方が書かれているブログ
  http://kazsan.blog.so-net.ne.jp/2015-07-16
で、『蟹工船』で有名な小林多喜二氏について学んだ。つぎのように書かれている。

《  2月20日は、多喜二忌。
去年の京都新聞2月21日付記事を引用します。

「おい地獄さ行ぐんだで!」。数年前ブームになった小説「蟹工船」の冒頭だ。きのうは作者小林多喜二が29歳で没して80年の命日だった▼虐殺だった。非合法の共産党に加わっていた多喜二は特高警察に捕まって拷問を受け、亡くなった。変わり果てた遺体の胸をなでながら老母は「どこら息つまった。何も殺さないでもええことウ」と泣いたという▼国会議事録を調べると、宇治市出身の衆院議員山本宣治が多喜二が死ぬ5年前、国会で思想犯に対する違法な拷問を追及している。しかし政府は「断じてこれ無し」と否定した。山宣自身は翌年、右翼に暗殺された▼多喜二の遺体は山宣のいとこの医師安田徳太郎が検視した。「死因は心臓発作」という当局のうそを暴こうと同志たちは大学病院に解剖を依頼したが、圧力で断られた。弔問客は片端から逮捕された▼作家松本清張は「時代を象徴した死」と評した。この年、日本は国際連盟を脱退し、京都大で滝川事件があった。治安維持法違反で拘束され、死亡した人は約1700人という。多喜二が受けたすさまじい暴力とこの数字を見合わせたとき背筋が冷たくなる▼21歳のとき恋人に宛てた手紙の一節はいう。「闇があるから光がある」。無数の犠牲の上に自由と人権が保障された今の世がある。蟹工船を再読しつつ、光のありがたさをかみしめる。 [京都新聞 2013年02月21日掲載]

 多喜二のお母さん、小林セキさんは、多喜二の代表作の一つ「党生活者」にも、特高警察に追われる愛息を心配して思いやる純朴な、等身大の老母として登場し、そのいじらしさ、けなげさ、気丈さが涙をさそいます。

 また、三浦綾子さんの「母」という作品も、このセキさんの目を借りて、多喜二を、そして彼が生きた時代を描いた佳作です。 》

 これを拝読して、私は初めて小林多喜二という人物(とその母)を心でとらえることができた。

 軍国主義に突っ走っていた社会が、いかに価値ある人を無為に苦しめ、抹殺していたか、挙げ句の果てが、大陸への侵略、無謀な開戦、神風頼みの特攻隊、東京大空襲、沖縄地上戦、…、国策が全く間違っていたではないか。
「戦争に善悪はない、勝ち負けがあるだけだ。負けたから先の戦争は失敗だった」と誰かが言っていたが、とんでもないことである。多喜二氏はじめ多くのまじめな思想家を拷問の末殺してしまった、それが悪でなくて何なのか。そんな国が万々一勝っていたら、どんな世の中になっていたことか…

 さて、当時の国は、こんな非道なことを国民にしていた。その謝罪はきちんとしたのだろうか? 命を奪ってしまっているから、お詫びのしようもないが、せめて悪事を認めて謝罪し、責任の在りかをつまびらかにしたのだろうか? 今ごろ急に、そんなことに気がついた。

 そこで筆者は kazg さんに質問のコメントを寄せた。すると次のコメントを返してくれた。

《 こうした思想犯に対する謝罪についてご指摘の点、ごもっともです。
「治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟」という団体が、息長く、意気軒昂に活動を続けておられる由ですが、謝罪も賠償もまだだと聞いています。
  http://www7.plala.or.jp/tian/
なにぶん、当事者の方々は皆さんご高齢で、次世代が受け継がねばならない課題ですね。今に、「弾圧などなかった」といい出しかねない方達が、政権にありますから。   》

 ここでも、戦前の方が付いていなかった。

(他にもいろいろ学んでいるのですが、今晩はこの辺で。kazg 様、本日は記事を拝借しました。支障がありましたらすぐに修正等しますので、ご遠慮なくご指摘くださいますよう、よろしくお願い致します。)

nice!(9)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 9

コメント 4

kazg

お早うございます。拙文を紹介くださり、光栄です。
また、ご意見拝読しつつ、目頭が熱くなるのを抑えきれませんでした。ありがとうございました。
by kazg (2015-07-20 07:43) 

momotaro

kazg 様
まったく、朝から涙ですねー。
ご快諾いただき、ありがとうございます。
またいろいろ勉強させていただきます (*^_^*)
by momotaro (2015-07-20 08:26) 

majyo

先に kazg様のところへ行き 読ませていただきました。
大変な時代を経て、国民主権の今の憲法があります。
しかし、これらの過去の残虐な事実をしても、
今や国が主体となり国民の権利は危うくなっています。
何故、懲りないのでしょうか? 学ばないのでしょうか?
軍国主義がもたらすものは、問答無用です。
異なる意見の封じ込めです。排除でしょうか?
あの怖い時代に戻りたくはありませんね。



by majyo (2015-07-20 12:08) 

momotaro

majyo 様
信じられないことですが、今の政権掌握者の考えは、隣国の発展が脅威となり、国民のエネルギーを国家間の勢力争いに集約しようとしています。国家主義、全体主義、ファシズムです。戦前と同じ思想です。
「国民のための国」から、「国家のための国民」に、理念を変えようとしています。すでに法制度を変えつつあります。
> なぜ懲りないのでしょうか?
マジョさんがおっしゃるとおり、あの時代の「悪さ」がわかっていない人たちが、まだ、日本に大量にいたのです。
お国のためを思って当時の為政者が一生懸命にやったことだと、美化してはいけません。幾多の人に残酷な仕打ちを、悲惨な思いをさせたのです。それがわからないから、小林教授は「バカがバカをしているだけ」と言ったのでしょう。愚かな人に負けるわけにはいきません。
という共通の思いで、もうしばらく、とことん粉砕まで、頑張りましょう。
by momotaro (2015-07-20 20:03) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。