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『日本はなぜ、「基地」と「原発」を…』を読んで その13 [『日本はなぜ、「基地」と「原発」を・・・』]

   《 PART3 安保村の謎①-昭和天皇と日本国憲法》(3)

「天皇+米軍」が戦後日本の国家権力構造となった
〈安保中心の国づくりをしたのは昭和天皇とその側近グループだったことはアメリカ側の公開資料により明らかになっている。《さまざまな歴史的経緯のなかで、日本人から圧倒的に支持されてきた天皇制と、第二次大戦後、世界の覇者となったアメリカ、なかでも人類史上最大の攻撃力をもつようになった米軍が強く結びつく形で「戦後日本」の国家権力構造がつくられることに》なった。たいへん強力であるため、現在のように矛盾がふきだしてもなかなかリセットできない。〉

「戦争責任なし」というフィクション
〈「開戦の詔書」を天皇の名で出しているので、戦争責任がないということはあり得なかった。しかし、米軍が日本本土への無血侵攻を達成するために天皇の協力を必要とし、その要請に応えた天皇を戦争犯罪人として裁くことは、以後の日米関係にとって益なしとの判断から、戦争責任を問わないことになった。昭和天皇にまったく戦争責任がないというのは、日米(GHQと日本の支配層)が合同でつくったフィクションである。〉

昭和天皇と優秀な影の内閣
〈昭和天皇の歴史的評価はさまざまだが、研究者がほぼ一致しているのは、昭和天皇は頭脳明晰で意志も強く国家戦略に長けた人物で、周辺に、きわめて優秀で忠誠心に富んだ側近グループが存在したということ。《その影の内閣の能力が、占領期にGHQとのかかわりのなかで、天皇制を存続させ、新しい「戦後日本」の形をつくるうえで遺憾なく発揮された。》〉

安保村の掟・その1
〈《重要な文書は、すべて最初は英語で書かれている》1946年に昭和天皇が出した人間宣言も、最初は英文で書かれていた。〉

天皇を利用した日本統治のスタート
〈天皇を利用した日本統治の試みは、8月15日の敗戦後すぐに始まった。8月21日マッカーサーに呼びつけられた軍使は降伏文書、一般命令第一号、天皇の布告文【現代語訳が原書本文に載っているが、ここでは省略する】の3つの英語で書かれた文書をもちかえる。アメリカによる日本占領は、英文で書かれた布告を日本側が翻訳して、天皇が指示どおりそれを発表することでスタートした。〉

皇居はなぜ爆撃されなかったのか
〈日本を占領するにあたって、天皇をどのようにあつかえば国益にかなうか、アメリカ政府は早くから検討を始めていた。皇居は爆撃せず、東京駅は爆撃した。降伏のセレモニーであるミズーリ号上の調印式も、天皇自身にサインを求めず、日本政府と軍部の代表者に自分のかわりに出席してサインすることを命ずるという形にした。〉

天皇の声明によって、順調に進んだ武装解除
〈昭和天皇とその側近グループは、アメリカ側からの要求にこたえながら、したたかに日本の国益を確保し、「戦後日本(安保村)」の安全保障体制をつくりあげていくことになる。国内だけでも300万人もの日本軍がそれほどの混乱もなく武装解除に応じた事実は「天皇を利用した日本支配」というシナリオの価値をいっそう高める結果になった。〉

 次の見出しが《第一回マッカーサー・昭和天皇会見》である。まだまだ、敗戦直後の段階である。先が長いので一区切りとしようと思う。
 ここでは、何もコメントを入れずに、著者の研究成果を曲げることなく伝えることに努めた。この時の在り方が今日の大きなゆがみにつながっているのだから、いろいろな思いが去来しなくもないが、あれほど軍事大国化し、国民を挙げて戦争を遂行していた国が、平和を取り戻そうという非常に緊迫した場面なので、あれこれの批評よりも、まずは、ことの成り行きについて、著者の説明を聞くことが第一と考えた。
 何も贅沢が言えない状況に追い込まれていたのだ。それほど、国の在り方が間違っていて、見通しもないままの戦争をやっていたのだ。そのつけが、こういう形で回ってきて、さらにそのつけが、70年たっても、まだまだ、重くのしかかってきているのだ。
 いまの政府が、そのつけを帳消しにすべく頑張っているのならまだしも、全体のゆがみを是正しようとするどころか、いままた新たに戦勝国の要望に沿って、国民をないがしろにしようとしているのだから、この国の政治家は、本当に情けない。あきれてものも言えない。(こんなことを書くつもりはなかったが、いつの間にか書いていた)
 ではまた!


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コメント 4

majyo

ありがとうございます。読んでから時間もたっていますから
頭が整理されていません。
ようやく、整理されました。
しかし、戦後の混乱期に色々あったことは承知できますが
その後、70年にわたってゆがみを是正しなかった人たち
それ以上に、今後もこの体制を維持し、追随する今の政権。
私も、怒りがこみ上げてきます。


by majyo (2015-06-03 20:13) 

momotaro

どうやって立て直しますかねー
難題ですよねー、いずれみんなで会議をしましょう
majyo さんの畑で、黒ニンニクをいただきながら
青空会議。参加者募集!
って私がやったらまずいですよね m(_ _)m
by momotaro (2015-06-03 22:17) 

ファルコ84

この書を読むまでは
敗戦後のアメリカと日本の
かかわりを知ることが無かった
そして今の日本の姿が
この様になってしまったのかも
良くも悪くも事実を知ることが
次の行動に繋がります
私も近いうちにPart3の
感想を書きたいと思っています。
by ファルコ84 (2015-06-03 23:02) 

momotaro

ファルコ84 さま
戦後史については、私たち国民のほとんどが
真実を知らされず、憶測で、それぞれに、
政治の動きを推定してきました。
このため、なにも議論が深まらず、なにも決断できないまま
70年が過ぎてしまいました。
これからは、矢部氏の本をたたき台に、
政治家に誤魔化しを許さず、真剣に議論してもらって、
国民も積極的に関心を持って、国の向かう方向を
決めて行く必要があろうかと思います。
「Part3の感想」楽しみにしております。

by momotaro (2015-06-06 11:58) 

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