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劣化が心配 日本の社会(3) [日本考]

業者の商売根性が国を歪めている話の続きです。

教科書や教材会社が学校教育を歪めている例を書きました。こんな例は他にも多々ありますよね。例えば太陽光発電です。

エネルギーの多様化、再生エネルギーの利用は大事なことですから、太陽光発電も大いに拡充すべきです。

しかし国は力を入れてきませんでした。再生エネルギーの利用は小規模で爪で拾い集めるようなところがあります。そのため特定事業者を通じて国が独占管理しにくかったからだと思います。

しかし原発事故以来、発電方式の多様化が叫ばれ、太陽光発電を促進するようになりました。

促進の仕方は、設備を設置することの利益を売電価格の高額固定化によって補償することでした。制度の始まった平成26年度は1キロワット当たり37円でした。買電価格が25円程度ですから、電力会社にしてみれば12円も逆ザヤが発生します。

この逆ザヤ分に対しては「再生可能エネルギー促進賦課金」という名目で電力利用者全員が利用量に応じて負担する仕組みも併せて導入されました。

しかし、こんな経済原則に反した不自然な制度が永く続くはずはありませんから、この補償価格は毎年引き下げられ現在は25〜26円で、買い値と殆ど同じです。

ですが、設置した時の売値は10年間保証されますから、早く設置するほど有利な制度で、促進効果はあったわけです。

儲かる仕組みを作るとすぐ動き出すのがこの世の大人の反応で、あちこちにソーラーパネルを見かけるようになりました。

しかし利益誘導ですから、不都合な事態も必ず発生します。何が不都合か?先日九州電力が太陽光発電の出力制御を発表しました。

10月13日の gonntan さんの記事に依りますと
【 九州電力は12日、電力のつくり過ぎによる需給バランスの崩れを防ぎ、安定供給を維持するため、13日に一部の太陽光事業者に一時的な発電停止を指示する出力制御を実施すると発表した。 】大分合同新聞1面から

 それに対して関連事業者からは【発電が制限されることに伴う収入減少への不安や、今後も制御が頻繁に発動される可能性を懸念する声が上がった。】とのことです。

太陽光による発電量が増えることは善いことなのに、電力会社にしてみれば仕入れコストが高過ぎるのです。一度事故が起きれば大変な損害が発生する原子力発電ですが、起きさえしなければ、こちらの方が遥かに儲かるのです。CO2の発生を伴う火力発電も低コストなのです。

九電の利益追求と太陽光発電業者の利益追求がぶつかり合いました。本来の環境対策は、再生エネルギー利用拡大の目標は、どこに行ってしまったのか?

利益追求によるソーラーパネルの設置自体も弊害が出ています。農地や里山を切り開いて更地にして、パネルを敷き詰めて発電して、これが本来の目的に叶うのかどうか?事業者が儲かれば良いってものではありません。

二酸化炭素は吸収されず、酸素は排出されず、森林の生態系は崩れ、癒し効果も失われます。大いなる社会の損失です。

太陽光を電力に変えれば善いのは、建物の屋上や壁面とか、砂漠の一部とか、太陽光が利用されていない場所に限られます。

目的が解っていればそんなことはすぐに気がつくことですが、利益に目が眩んでただ金の使い道を考えていると、儲かりそうなことは何でもやってしまうのです。

話変わって、介護事業もそうです。保険制度ができ、ビジネスとして成り立つようになりました。これによる社会のメリットは大きいのですが、保険制度から金を引き出そうとする業者の商売根性が、介護という、本来、人に優しい行為・活動に、行き過ぎやけたたましさをもたらしている面があるように思います。

政治の堕落が最大の懸案事項ですが、巷にも、劣化の原因が潜在しているようです。

今日はこんなところで失礼します。


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